2023 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫培養細胞Pv11のトレハローストランスポーターを介した乾眠機構の解明
Project/Area Number |
23KJ0537
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水谷 晃輔 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2024-03-31
|
Keywords | トランスポーター / 昆虫 / トレハロース / 乾燥耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハエ目ネムリユスリカ由来のPv11細胞は乾燥により脱水されると乾眠という状態を取り、再水和によって生命活動を再開することが出来る。Pv11細胞はグルコ二糖のトレハロースに浸すことで、1年間以上の常温乾燥保存が可能である。トレハロースは生体成分を乾燥から保護すると共に乾燥関連遺伝子の発現を調節しており、複数のトレハローストランスポーターによって細胞内外に輸送されることが推測されている。本研究では、網羅的にPv11細胞の新規トレハローストランスポーターを同定し、機能解析を行うことで、乾眠機構におけるトレハローストランスポーターを介した細胞の保護メカニズムの解明を目指した。 成果として、Pv11細胞で発現していたNaイオン濃度依存的にトレハロースを輸送するトレハローストランスポーターであるSTRT1(Sodium ion Trehalose Transporter 1)を同定した。STRT1は昆虫の中で、Naイオンとトレハロースを輸送するトランスポーターとして初めて報告された。さらに、このSTRT1がPv11細胞において乾眠機構に関わっており、乾燥後の再水和過程においてトレハロースを排出することによって、細胞内外の浸透圧差を制御している可能性が示唆された。これらの成果を学術論文誌に報告した。 さらに、STRT1はハエ目、チョウ目など複数の昆虫種に保存されていた。STRT1のオルソログやパラログに関してクローニングを行い、Pv11細胞由来のSTRT1と同様に機能解析を行なった。これらの結果に関しては、学術論文誌に投稿すべく準備中である。
|