2023 Fiscal Year Research-status Report
Language variation in the regional French in Alsace
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23KJ0652
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉浦 黎 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 言語変異と変化 / 変異理論 / 地域フランス語 / アルザス地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、地域フランス語の変異を社会言語学の変異理論を用いて分析し、言語接触による音声変異の出現と伝播の方向性を記述することである。アルザス地域で話される地域フランス語を観察し、変異が出現する言語内要因と社会的要因を明らかにすることを試みている。特に、ゲルマン諸語との接触による変異やアルザス地域フランス語の特徴として先行研究において指摘されてきた特徴が、現在のアルザスのフランス語においてどのように表れているのかを調査している。子音の摩擦音と破裂音を対象として、これらの変項がどのような条件や環境において出現するのかを明らかにするために、単語読み上げ、と自然会話という 2つのスタイルの発話データを収集している。二つの異なるスタイルの発話を収集し、変項の現れ方を比較することで、言語の変異が変化へと向かう過程を連続的に捉えることが可能になる。
調査地点の選定については、地域語のアルザス語との接触頻度の観点から、現時点では3地点を選定している。申請者は 2017 年、2019 年でのストラスブール滞在において、アルザス地域での人的ネットワークを構築したため、これらのネットワークを生かし、言語変異研究において用いられる「知り合いの知り合い方式」 により調査協力者を集めている。アルザス地域の北部から南部にわたる複数の地点での調査により、アルザス地域フランス語が内包しうる多様性の記述を行うことができ、さらに、アルザスの地域フランス語の特徴を記述することで地域フランス語研究の蓄積に貢献し、フランス語の多様性を提示することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は2023年8月より、フィールドワークを開始した。フィールドワークを開始した2023年度には、まずはアルザス地域でどのように地域語が話されており、学習され、継承されているのかという側面に着目し、参与観察を行なった。参与観察と人間関係の構築は順調に進んでいる。2024年度からは実際にインタヴューを開始している。この点から、本研究はおおむね計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者は2024年度8月までフランスのアルザス地域に滞在する。2023年度から引き続き、アルザス地域でのフィールドワークを行う。上述の通り、2023年度はアルザス地域でのアルザス語話者や学習者の活動を参与観察し、人間関係構築を行なっていた。2024年度からは、申請者の博士論文の中心ともなるアルザス地域のフランス語の音声的特徴を明らかにするために、インタヴューを実施する。
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Remarks |
アルザス語言語文化局のL'Office pour la Langue et les Cultures d'Alsace et de Moselle (OLCA)が、宮腰・杉浦が2023年に出版したアルザス語書記法の翻訳について公式サイトで取り上げた。
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Research Products
(2 results)