2023 Fiscal Year Research-status Report
D型インフルエンザウイルスのマトリックスタンパク質改変による新規生ワクチン開発
Project/Area Number |
23KJ0719
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片山 美沙 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | D型インフルエンザウイルス / インフルエンザウイルス / マトリックスタンパク質 / 温度感受性 / HEFタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、A型インフルエンザウイルスで得られている知見を基にして、ウイルス粒子の骨組みとなるマトリックスタンパク質への変異導入による高温感受性ワクチンウイルスの作製を目指しており、従来のポリメラーゼ変異による高温感受性ワクチンウイルスよりも効果が高いワクチンを作製できる可能性がある。 本年度は、温度感受性ウイルスを作製する前段階として、D型インフルエンザウイルスのマトリックスタンパク質に存在する核局在シグナル配列の探索を中心に研究が進展し、およその配列位置を特定するに至った。2024年度は、さらに詳細な核局在シグナル配列を特定し、その配列に変異を導入したマトリックスタンパク質をもつウイルスの人工合成、および温度感受性についての調査を行う予定である。 また、温度感受性ウイルスを作製するバックアッププランとして、ウイルスポリメラーゼタンパク質にA型インフルエンザウイルス低温順化株と相同な変異を導入して得られた高温(37℃)感受性株を低温(33℃)で連続継代することで、低温順化株の作製を試みている途上である。 さらに、以前に樹立したD型インフルエンザウイルス表面タンパク質HEFに対するモノクローナル抗体を使用して、国内に分布するD型インフルエンザウイルスの抗原性の解析を行い、その知見を元に抗原性が異なる2つのウイルス株の抗原性を一部併せ持つキメラHEFタンパク質を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、マトリックスタンパク質の核局在シグナル配列を概ね特定するに至ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに詳細な核局在シグナル配列を特定するため、蛍光タンパク質にシグナル配列候補を付加して細胞内での局在変化を調べる。配列が特定できた後は、変異を導入したウイルスをリバースジェネティクス法で作製する。表面タンパク質HEFについては、さらに他の部位についてエピトープにアミノ酸変異を導入することで共通抗原性の賦与を試みる。
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Causes of Carryover |
当初想定していたよりも所属研究室が遂行している他の研究と共通で使える試薬および機材が多く、予定よりも出費が少なかった。次年度は解析用PCの購入、および本研究のみで使用する複数の抗体の作製を見込んでおり、持ち越した予算をこれらに中てる予定である。
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