2023 Fiscal Year Research-status Report
統計的な自己相似性から迫る粒径多分散なジャミング・ガラスの研究
Project/Area Number |
23KJ0753
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋本 大祐 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 粉体 / ソフトマター物理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
大きさがべき分布に従う粒子の数値計算と実験系の構築を行い、数値計算の結果については簡単なモデルで説明可能であることを明らかにした。数値計算においては、摩擦のない円形粒子をゆるやかに圧縮したあとゆるやかに除圧するというサイクルを行い、構造の変化を調べた。その結果、大きな圧縮の後ではサイクルの前に比べジャミング転移点が低下する、すなわち隙間の多い構造になることが明らかになった。これは直感に反する現象であり、二分散系での結果とも対照的である。充填の構造を調べた結果、この密度低下はサイズによって偏析したことによるものであることが明らかになった。偏析の原因は、排除体積の効果により高密度の系において半径の大きな粒子の間にはたらく実効的な引力であることがわかった。その他、ジャミング転移点におけるラトラーの個数比率や面積比率の粒径分布への以前の仕方を調べた。これらの結果については国際学会で発表を行った。 実験においては、円形の光弾性ディスクを多数作成し、体積を保ったまません断変形をかけるセルの作成を行い、予備的な結果を得た。光弾性ディスクの表面には可視光下で無色透明な蛍光インクで直径に沿って線を引き、位置と回転を同時に追跡できるようにした。カメラ、セルの形状を制御するステッピングモーター、偏光フィルターのホイール、バックライト、ブラックライト、ロードセルはすべて同一のコンピュータで制御することで同期し、簡単な操作で周期的なせん断をかけられるように作成した。現時点では、せん断に伴うミクロ変形や、簡単な力学測定の結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験系が完成しデータが集まり始めたため、実験の進行は順調である。また、数値計算では予期しなかった現象を見出したためそちらの解析に労力を割いたが、研究の他の部分の進行も特に遅れてはいない。
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Strategy for Future Research Activity |
実験は現状通り継続し、データを集め続ける。データを取るのに時間がかかるため、効率良く進める。極端に大きな摩擦のある粒子の作製も成功しているので、そちらについても実験を行う。数値計算では、振動モードの解析など残された問題を解決する。
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Causes of Carryover |
理由は、購入しようと考えていた実験装置の一部を自作して価格が下がったこと、国内で複数の国際学会に参加したため海外へ行く必要がなかったことなどである。
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