2023 Fiscal Year Research-status Report
クロスモーダル錯覚による疑似的な風感覚の提示手法の研究
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23KJ0770
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細井 十楽 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | クロスモーダル錯覚 / 風覚ディスプレイ / バーチャルリアリティ / 触覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,クロスモーダル錯覚を用いることで全身に対して多様な風感覚を疑似的に提示することを目指している.低コストな風感覚提示が実現することにより,Virtual Realityにおける臨場感向上・VR酔いの低減に大きく寄与すると考えられる. 初年度となる本年度は,多様な風を識別する知覚的な要素解明と,全身への風感覚提示を行う手がかりを見つけることを予定していた. 前者の知覚解明について,人工皮膚と圧力センサによって構築された測定系の構築を実施した.人工皮膚を用いることで,体動や個人差を無視して,風による微弱な触覚刺激を測定できると考えられる.また,様々な風速に制御可能なな風提示システムを構築し,今後の測定・提示を見すえた環境を作成した.後者の全身に対する提示に関して,髪の毛型デバイスを頭部の毛髪に延長し,視聴覚刺激と同期させて操作することで,自然なインタラクションをもって風感覚提示ができないかと考え,モータと人工毛髪が組み込まれた髪の毛型デバイスの試作を実施した.左右の耳部近傍のデバイスをそれぞれ独立に操作することで,風の吹く風向などの多様な表現が可能となると考えられる.また,年度中に,国際学会での発表4件,国内学会での発表3件,ニュース記事掲載やテレビ番組出演などのメディア報道3件を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は風による触覚刺激の計測環境と様々な風速の風を提示する環境の構築を行い,刺激計測を行うことが可能となった.また,本研究の最終的な目的となる全身への風感覚提示に対し,髪の毛という拡張身体を用いたデバイスを試作を行った.したがって,研究はおおむね順調に進展していると評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,構築した測定系を用いて多様な風による皮膚への刺激計測の実施を行い,風が当たっている際の触覚刺激の整理と解析を行う.また,製作した髪の毛型デバイスを用いることで,風向を含む全身への風感覚が提示できるかの効果検証を実施する.
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