2023 Fiscal Year Research-status Report
電解酸化による立体選択的かつ高効率的なアザヌクレオシド合成法の確立
Project/Area Number |
23KJ0870
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
森住 春香 東京農工大学, 大学院連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 有機電解 |
Outline of Annual Research Achievements |
アザヌクレオシドは、核酸の構成ユニットである天然のヌクレオシ(チ)ドに対して人工的な構造改変を施した化合物群の一種である。アザヌクレオシドの誘導体は優れた生理活性を示し、抗ウイルス剤や抗がん剤として利用されている。核酸医薬は生体内の核酸やタンパク質に対して特異的に作用することから、医薬分野での更なる発展が期待される重要な創薬シーズであり、信頼性と汎用性の高いアザヌクレオシドの合成法が求められる。本研究ではアザヌクレオシドの立体選択的かつ高効率的な電解合成のため、β選択的な求核剤の導入が可能な反応条件の構築を研究目標として研究を遂行した。2,3,5-トリアセチル保護プロリノールを基質として用いた検討では、電解反応液中に添加する試薬のみでは十分な立体選択性は実現されなかった。一方で、2,3-ペンチリデン保護基を導入したプロリノールを基質とした場合には顕著なβ選択性が確認された。そこで新たに、水酸基の保護基によって変化するプロリン環の配座が、N-α位への求核剤導入時の立体比へ大きく影響するのではないかという仮説の下に研究を実施し、立体選択性の出現に係る新たな知見を得た。ペンチリデン保護基による立体選択性の出現要因として、エチル基の立体障害によりα面からの求核攻撃が阻害されることを想定していたが、これについてエチル基の無いメチレンジオキシ保護体を合成し、電解庄野酸化を行って生成物の立体比を比較した。その結果、メチレンジオキシ保護体においてもペンチリデン保護体と同様に顕著なβ選択性の出現が確認されたことから、プロリノールにおける立体選択性の出現に係る要因として環配座が大きく寄与していることを見出した。これらの研究成果をまとめ、国際学術誌および国内学会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロリノール基質への立体選択的な求核剤の導入を達成した。また、立体選択性の出現要因を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
アザヌクレオシドの合成を実現するために、炭素求核剤を含む多様な求核剤についても有効な反応手法を構築する。また、立体選択性の出現に寄与する因子を探索し、信頼性の高い電解反応プロトコルを構築する。さらに、開発した手法を用いてスケールアップに挑むことで、アザヌクレオシドの高効率的な電解合成を達成する。
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Causes of Carryover |
研究計画の一部に変更が生じたことで、計画の練り直しにより使用時期の変更が生じたため。次年度に本研究に必要な実験器具である電極や試薬等を購入するための物品費、およびこれまでの研究成果を学会にて報告するための旅費として用いることを予定している。
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Research Products
(4 results)