2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23KJ0927
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 智妃呂 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2024-03-31
|
Keywords | 二相共存系材料 / LiFePO4 / 相転移挙動 / 相転移律速 / 電位ステップ測定 / 活性化エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、二相共存系電極材料の充放電時における相転移挙動、特にその律速過程に与える要素の検討を目的としている。 相転移の律速を検討するにあたって、相転移時の電極電解液界面の影響や格子再配列を伴う体積変化の影響の検討を試みた。LiFePO4の相転移時の律速段階を検討するにあたって電位ステップ測定を用いて反応速度定数を求め、その活性化エネルギーを算出し、複数の系で比較する方法を選択した。特に(1)LiFePO4の相転移挙動への電極電解質界面の影響の検討には、非水系電解液と水系電解液での比較、(2)相転移時の格子再配列の影響の検討には、LiFePO4からLiを脱離したホスト材料を用い、LiイオンとLiイオンよりもイオン半径の大きいNaイオンを挿入脱離した際の比較を行った。 (1)相転移挙動への電極電解質界面の影響の検討 水系電解液と非水系電解液各々において、活性化エネルギーを算出し比較した結果、水系電解液の活性化エネルギーは非水系電解液よりも低いことが示された。このことから、相転移が反応速度を支配するとしても、相境界の再配列が反応速度を決定する唯一の要因ではなく、電極―電解質界面での電荷移動も反応速度全体に影響を与えることが示唆された。この成果については査読付き論文としてまとめ発表した。 (2)相転移時の格子体積変化の影響の検討 Na系の活性化エネルギーは水系電解液のLi系の活性化エネルギーと同等かそれよりも低いことが判明した。Li系とNa系における界面電荷移動過程を比較考察すると、イオン半径の大きなNaカチオンは溶媒との相互作用がLiカチオンよりも低く、溶媒和脱溶媒和障壁は、対応するLi系よりも低いと考えられる。このことは、電位ステップ実験においてNa系の活性化エネルギーがLi系よりも低かったことを説明する有力な因子であることを明らかにした。この成果については、国際学会にて発表した。
|