2023 Fiscal Year Research-status Report
3次元複屈折測定による細胞牽引力のリアルタイムイメージング
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23KJ0969
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
勝木 陸 電気通信大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 複屈折 / 牽引力 / メカノバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞の分化や発生、あるいはガン化といった生命現象に、生化学反応だけでは説明できない力学的メカニズムが介在していることが示され、その仕組みを究明する学問分野がメカノバイオロジーと呼ばれ注目を集めている。しかし、3次元培養が可能で牽引力などのメカニカルストレスを定量できる測定環境はいまだ開発されていない。そこで本研究では3次元複屈折測定を行い、細胞牽引力のリアルタイムイメージングを行う。 複屈折の変化量から牽引力を算出するために2023年度は複屈折測定装置の組み上げとハイドロゲルの複屈折と力との関係式を構築した。偏光子、レンズで変調したレーザー光(1064 nm)を1方向からサンプルに透過させハイドロゲルの複屈折量を測定した。次に、ハイドロゲル(ポリアクリルアミドゲル)に上部から力を加え、ハイドロゲルの複屈折とハイドロゲルにかかる力を測定した。ハイドロゲルの複屈折は力を加えるにつれて増加し、ハイドロゲルに与える応力と複屈折との間に線形関係があることが確認された。これはハイドロゲルに力が加わることでハイドロゲルの等方性が変化することで生じたと考えられる。また、ハイドロゲルのモノマー濃度に応じて複屈折の変化率が異なり、ハイドロゲルのモノマー濃度が低いほど小さな力で複屈折が変化することが明らかになった。細胞の牽引力に応じてモノマーの種類や組成を変えることで幅広い細胞種の測定に対応できることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に測定系の構築を行い、ハイドロゲルに与えた力と複屈折量との間に線形関係があることを明らかにした。また、ハイドロゲルのモノマー濃度に応じて複屈折変化に必要な力の量が変わることも明らかになった。 以上から「(2) おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度においてはハイドロゲルの種類やモノマー濃度を変えた際の複屈折の変化率を測定し、細胞牽引力測定に適したハイドロゲルの選定を行う。また、レーザー及びCCDカメラを3方向に設置し、各平面の複屈折を空間座標ごとに足し合わせることで、3次元での複屈折を再構築する。さらに、モデル細胞の複屈折測定を行い、蛍光染色と比較することで3次元での複屈折の再構築ができているか確かめる。
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Causes of Carryover |
共同研究先である国立天文台の協力により、測定装置の予備検討を天文台所有の機器を用いて行ったため次年度使用額が生じた。2023年度に行った予備検討で良好な結果が得られた装置の物品を2024年度以降にまとめて購入し測定装置を構築する予定である。
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