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2023 Fiscal Year Research-status Report

ダイヤモンドNV中心における長距離量子通信に向けた単一光子干渉によるもつれ生成

Research Project

Project/Area Number 23KJ0983
Research InstitutionYokohama National University

Principal Investigator

レイエス ラウスティン  横浜国立大学, 大学院理工学府, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2023-04-25 – 2025-03-31
Keywords量子中継 / 量子通信 / ダイヤモンドNV中心
Outline of Annual Research Achievements

2023年度は遠隔2ノードにおける量子もつれ生成に向けて以下の研究を実施した。
1.10mの可視光帯光ファイバリンクを実験室内に設置し、片側ノードのダイヤモンドNV中心から放出した光子をもう片方のノードに送信した。反対ノードのNV中心が光子を吸収し、さらに自然緩和によって放出した光子を超伝導ナノワイヤ単一光子検出器(SSPD)で検出し信号を得た。その検出信号はNV中心の吸収波長を掃引することでスペクトルを得ることができ、共鳴時にのみ吸収が起こることを確認した。
2.実地での長距離量子中継に向け周期分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN)導波路を用いてNV中心から放出された可視光帯光子(637nm)を通信波長帯光子(1550nm)に変換し、10kmの光ファイバスプールを透過させSSPDで単一光子の検出を行った。この実験はNV中心の準位に共鳴しないレーザー及び共鳴するレーザーで行い、前者は波長フィルタで後者は偏光によってダイヤモンド表面で起こる反射光を除去した。
3.量子中継の前段階実証として1ノードにおいて要素技術である、量子もつれ生成量子もつれ吸収・ベル測定を複合した操作をNV中心に存在する電子スピン・窒素核スピンを用いて実証した。あらかじめ量子もつれ状態に状態準備した電子スピン-窒素核スピンに対して定まった偏光のレーザー光を入射し、吸収が起こると光子の偏光状態が窒素核スピンに転写される。吸収が起こった後の自然緩和光の偏光と電子スピン-窒素核スピンのベル測定には相関があり、これを検出した。レーザー光は10km伝送に必要な量子波長変換に関わるロスを考慮した強度まで減衰させた状況(1光子以下)においても相関が観測された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

現在、実地での遠隔2地点間での量子もつれ生成に向けて、今年度は光子干渉計の作成の前に、NV中心から放出される可視光帯(637nm)の光子を日常の光通信で利用される通信波長帯(1550nm)の光子に波長変換するための光学系の開発や、開発した光学系を利用してNV中心光子に対して実際に波長変換を施し、実験室内で10kmの通信波長帯の光ファイバ中を伝送させる実験を行っている。将来、実地での光子干渉方式を用いた2地点間量子もつれ生成を実施する問題として、2024年1月にボストンエリアにおける50km通信波長帯ファイバテストベッドの研究の中で、10時間程で40nsの時間ずれが生じることが報告された。これを受けて、ファイバの伸縮に対して量子もつれ状態の忠実度が変化しない、発光―吸収型の量子もつれ生成に向けた実験を進行するようになったため、計画とは異なる方式でゼロ磁場における遠隔2地点量子もつれ生成を試みている。

Strategy for Future Research Activity

2023年度は光子レベルまで強度を減衰させたレーザーを10km伝送して通信波長帯からNV中心に共鳴する波長に変換して吸収させることで、発光―吸収型の量子もつれ生成を行う上での基盤技術を複合した操作を実証した。2024年度は光子レベルまで強度を減衰させたレーザーではなく、NV中心から放出された光子を伝送しもう片方の地点に設置したNV中心に吸収させることで量子もつれ状態の生成に挑戦する。本実験を行う上では、10kmファイバ中の偏光回転が問題になるが、十分に密封された空間では偏光回転の抑制が見込めるため、そのような環境を整備する。整備された環境で偏光の回転度が大きいのであれば、強度の大きいレーザーを用いた偏光モニタリングによるフィードバックで解決を図る。また、現状の波長変換の効率では単一光子検出器のダークカウントノイズに埋もれてしまうので、精密な調整が可能なアライメントマウントを利用して効率向上を試みる。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由は、実験に使用する予定の機器を代替できる機器が研究室にあり、その機器を利用して実験を進行していたためである。また、昨年度は1ヶ月間の英国留学を行ったが当初の予定より長期の滞在となり、申請した旅費より高額だったので研究室が所有している予算で実施したため、次年度使用額が生じた。今年度は学会への参加を前年度より増やすと同時に、精密な光学機器を購入して変換効率や伝送損失の改善に繋げる。

  • Research Products

    (4 results)

All 2024 2023

All Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] 光子吸収によるダイヤモンド量子メモリへの誤り耐性型量子状態転写2024

    • Author(s)
      伊藤大輔,藤原太朔,佐藤清貴,毛利駿介,渡辺幹成,レイエスラウスティン,牧野俊晴,加藤宙光,味村裕,関口雄平, 小坂英男
    • Organizer
      第71回応用物理学会春季学術講演会
  • [Presentation] 通信波長光子からダイヤモンドNV 中心への量子テレポーテーション転写2024

    • Author(s)
      藤原 太朔 ,伊藤大輔 , 佐藤清 , 毛利駿介,レイエスラウスティン, 加藤宙光, 牧野俊晴, 味村裕,関口雄平, 小坂英男
    • Organizer
      日本物理学会2024年春季大会
  • [Presentation] 量子中継ネットワークに向けたダイヤモンドNV中心もつれ光子の量子周波数変換による長距離伝送2024

    • Author(s)
      毛利駿介, レイエスラウスティン,小林歩夢,上牧瑛,関口雄平,加藤宙光,牧野俊晴,知名史博,三木茂人,味村裕,小坂英男
    • Organizer
      日本物理学会2024年春季大会
  • [Presentation] Quantum frequency conversion of entangled photons from NV center in diamond towards constructing long distances quantum repeater network2023

    • Author(s)
      Raustin Reyes, Shunsuke Mouri,Ayumu Kobayashi,Akira Kamimaki,Hiromitsu Kato,Toshiharu Makino,Fumihiro China,Shigehito Miki,Yu Mimura,Hideo Kosaka
    • Organizer
      1st International Workshop on Quantum Information Engineering (QIE2023)
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2024-12-25  

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