2023 Fiscal Year Research-status Report
革新的負極-固体電解質界面制御型結晶化ガラスによる全固体ナトリウム電池の創製
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23KJ1018
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 史隆 長岡技術科学大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 全固体電池 / 負極 / レーザー / ガラス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題は、次世代二次電池「全固体ナトリウム電池(Na-ASSBs)」の実現に、現在最大の課題である界面制御と負極材料に焦点を当て、「ガラスセラミックス」と「レーザー工学」を融合した独創的なアプローチで、革新的負極-固体電解質界面制御型結晶化ガラスを創製する。全固体電池にとって電極-固体電解質界面の制御による抵抗低減が課題だが、ほとんどの研究が比表面積の大きな材料との複合化によるアプローチである。しかし、比表面積の増大はエネルギー密度と相反するため、実用化基準の性能を満たす電極開発では従来型の研究手法では限界がある。従来型の研究とは一線を画し、ガラスおよび結晶化ガラスが全固体電池の固体界面形成に資すると着想した。2023年度は、レーザー照射プロセスを用いたスズケイ酸ガラス負極と固体電解質との一体化による電極-電解質界面形成を実施した。固体電解質上への負極層の膜厚を制御し塗布した後レーザー照射を実施し、光照射条件の出力・走査速度の違いにより、塗布した負極層と固体電解質の接合の有無のみならず、負極層の形態変化が生じることを示した。その中で、最も密接な接合を示したレーザー照射条件は、レーザー出力3 W, 走査速度100 mm/sの条件であった。本研究で用いたレーザー照射プロセスと従来の熱処理プロセスを比較したところ、熱処理プロセスでは、負極層の緻密化や固体電解質との接合は全く確認できなかった。また、交流インピーダンス測定によるイオン伝導性の評価においても、レーザー照射プロセスは伝導性の向上を示し、熱処理プロセスと比較して大幅な向上が示された。この結果、スズ鉄ケイ酸ナトリウムガラス負極を用いた本材料では、固体電解質上の負極層の緻密化および接合界面の形成によりイオン伝導度が明確に向上させることに成功した。現在、全固体電池での使用による電気化学的特性評価を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、固体電解質と負極活物質をレーザー照射プロセスにより接合させ一体化することで、全固体電池の界面抵抗を低減できることを実証した。それだけでなく、その過程においてレーザー照射条件の変更により負極活物質の形態や構造が変化することを見出した。また、現在は全固体電池を組み立て電気化学的特性の評価を実施している。以上の理由から、本研究課題は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
負極―固体電解質一体化試料を実際に全固体電池用部材とし、全固体電池の電気化学的特性評価および充放電過程における負極活物質の構造変化を評価、解析していく。その解析後、正極にリン酸鉄ナトリウムガラス正極を用いたフルセル全固体電池を試作する予定である。しかしながら、リン酸鉄ナトリウムガラスが固体電解質と接合するレーザー照射条件やレーザー照射による構造変化が未解明であるため、フルセルの作製の前にその解明を実施する必要がある。また、本研究室に新たに導入された放射温度計を使用し、今までで評価できなかったレーザー照射部の温度に関しても評価を実施していき、レーザー照射によるガラス電極と固体電解質の一体化に関する事象をさらに追及し研究を推進していく予定である。
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