2023 Fiscal Year Research-status Report
先天性指趾/四肢形成不全症を招く遺伝学的機序の解明
Project/Area Number |
23KJ1051
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
矢本 香織 浜松医科大学, 医学部, 特別研究員(RPD)
|
Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
|
Keywords | 先天性四肢形成不全症 / 全エクソーム解析 / 全ゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれの先行研究の結果、疾患発症原因が同定されなかった先天性指趾/四肢形成不全症11家系に対して全ゲノム解析を施行し、以下に示す知見を得た。1) 裂手症の家族例において、split-hand/foot malformation with long-bone deficiency 1 (SHFLD1)の原因遺伝子であるBHLHA9を含む約55kbのduplicationを同定した。これまでに日本人の裂手裂足症約130家系の遺伝子解析を施行し、そのうちの約4割にBHLHA9を含む同一の約210kb領域のduplication/triplicationが同定されている。しかし、今回同定されたduplicationは、このduplication/triplicationとは異なる領域であった。Breakpoint PCRの結果、Alu/Alu-mediated rearrangementによって生じた、これまでに報告のない新たなduplicationであることが分かった。2) 両側裂手症の患者において、split-hand/foot malformation 4 (SHFM4)の原因遺伝子であるTP63のexon4を含む約11kbのinternal duplicationを同定した。さらに、Breakpoint PCRを施行し、切断点を同定した。健常の母にも同一のduplicationが同定されたが、TP63は浸透率が低いことが知られており、今回同定されたduplicationが本症例の原因であると考えられた。3)左前腕欠損、右下肢欠損の患者において、1q43領域に位置するRYR2およびZP4を含む約1Mbのduplicationを同定した。本領域は、SHFLD3の原因として過去に1家系のみ報告されている。本疾患との関連については、現在追加解析を施行し、検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定通り、先天性指趾/四肢形成不全症11家系に対して全ゲノム解析を施行し、うち2家系に先天性指趾/四肢形成不全症の原因となるコピー数異常または遺伝子変異を同定し、1家系に候補となるコピー数異常を同定することができた。全ゲノム解析および同定された遺伝子変異に対する機能解析に時間を要しており、新規検体の全ゲノム解析およびRNA-seq解析を次年度に施行する方針とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
われわれの先行研究の結果、疾患発症原因が同定されなかった先天性指趾/四肢形成不全症のうち、残りの5家系に対して全ゲノム解析を施行する。また、全ゲノム解析で同定されたTP63遺伝子のdeep intron variantに対して、minigene assayを施行する。さらに、患者の尿検体を用いたRNAシークエンス解析を施行する。
|
Causes of Carryover |
これまでに提出した症例の全ゲノム解析およびその追加実験に時間を要したため、新規症例の全ゲノム解析およびRNAシークエンス解析を次年度に提出する方針とした。
|