2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23KJ1053
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
至田 直人 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 擬微分作用素 / フーリエ乗法作用素 / 多重線形作用素 / フーリエ積分作用素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,研究対象である多重線形擬微分作用素に関連して,以下の研究をおこなった. 1.S_{ρ,ρ}クラスの多重線形擬微分作用素に対するルベーグ空間の枠組みでの有界性について考察した.双線形の場合はMiyachi--Tomita(2020,2019)によって,解決されていたが,一般の多重線形の場合には解決されていない.この問題について取り組んでいたが,部分的な有界性については結果しか得られず,完全な解決には至らなかった. 2.線形のシュレディンガー方程式の2つの解の積に対する評価を考えた.この評価をフーリエ・ルベーグ空間の枠組みで考察することで,既存の結果を拡張することを試みた.本研究については一定の成果が得られたため,この結果は現在論文にまとめている最中である.本研究は杉本充氏(名古屋大)との共同研究である, 3.振動項を含むような双線形フーリエ乗法作用素に対して,そのルベーグの枠組みでの有界性を考えた.とくに,本年度は0< s <1,あるいはs>1の場合のs次斉次な相関数を持つ場合についての有界性を考察した.結果として,Rodriguez-Lopez--Rule-Staubachなどによって得られていた結果を,部分的ではあるものの,改良することに成功した.本研究は論文にまとめて,現在投稿中である.本研究は宮地晶彦氏(東京女子大),冨田直人氏(大阪大学),加藤睦也氏(岐阜大学)との共同研究である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では,これまでに取り組んできた擬微分作用素のみならず,様々な多重線形(双線形)作用素についての解析の手法を学ぶことができた.特に,振動項を含むような作用素についての研究を進展させることができた,今後の研究の指針を立てることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
多重線形擬微分作用素については現時点で残っている問題の完全解決を目指したい.また,振動項を含むような多重線形フーリエ乗法作用素の有界性についても本年度で得られた結果の更なる拡張を考えたい.
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Causes of Carryover |
本年度は多く出張することを計画していたが,結果として例年よりも少ない出張回数となってしまった.次年度は,海外を含めた多くの研究集会,学会に参加する予定である,また,本年度にはじめた研究に関連した書籍の購入や,研究に利用するパソコンおよび周辺機器の老朽化が進んでいるため,これらの購入にも余剰分を充てる予定である.
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