2023 Fiscal Year Research-status Report
新規単原子修飾セリア系複合酸化物の創出と脂肪族アルコールアンモ酸化触媒への展開
Project/Area Number |
23KJ1103
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
CHEN Chaoqi 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Keywords | 複合酸化物 / レドックス機能 / In situ XAFS / 単原子 / アンモ酸化 / ルテニウム / セリア / 表面修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、酸化還元特性を低温 (373 K前後) で有するCu、Ruを担持したセリア系複合酸化物 (Cu0.18Ru0.05CeOz) を調製し、可逆的に373 K付近の低温で還元と酸化を起こすことを明らかにした。Cu0.18Ru0.05CeOzは2サイクル目から還元温度が低温化し、可逆酸化還元特性が4サイクルまで安定な事を示した。In situ XANES測定 (303 K―473 K) により、H2還元過程ではCu、Ru、Ce種が全て473 Kまでに還元され、O2酸化過程ではRuとCeが瞬時に酸化され、Cuは温度の上昇とともに酸化が進行することを明らかにした。また、Cu K端、Ru K端EXAFS解析により、Cu、Ruの金属ナノ粒子がH2還元で生成し、元のCuとRuの酸化物にO2酸化にて戻る事を新たに明らかにした。調製したCu0.18Ru0.05CeOzを用いたベンジルアルコールのアンモ酸化反応の特性を調べ、ベンジルニトリルを高選択性で生成することを明らかにし、Ruがアルコールを選択的に酸化し、Cuがアルデヒド中間体をニトリルに変換する活性点として働くことを提案した。 また、Ru原子が固体表面上で孤立化されている単原子修飾セリア(Cu0.18Ru0.008CeOz)を調製した。XRD、HAADF-STEMによりRu種は大きな凝集をすることなく、均一に表面に担持されたことを明らかにした。CO-DRIFT、Ru K端EXAFSにより、Ru種がCu0.18Ru0.05CeOzと異なる結果を示し、単原子種として表面に存在していると示唆された。調製したCu0.18Ru0.008CeOzを触媒として、長鎖系アルコールのアンモ酸化反応を評価したところ、Ru量の多いCu0.18Ru0.05CeOzと比較して、より高い収率で対応する長鎖系ニトリルが生成することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は、これまでに進めてきたCu0.18Ru0.05CeOzの酸化還元特性の解明と単原子Ru種の表面修飾について重点的に研究を行った。 調整したCu0.18Ru0.05CeOzは2サイクル目から還元温度が低温化し、4サイクル目まで可逆酸化還元特性が安定な事を明らかにした。XPS、XAFS等の構造解析を通じて、Ru、Cu、Ce種が酸化還元過程にての構造変化を新たに明らかにし、3月末の日本化学会春季年会において研究発表を行った。また酸化還元特性と高いアンモ酸化触媒活性について論文執筆を進め、投稿した。 また、Ru種をセリア表面で単原子化し、担持量の最適化をした。XRD、HAADF-STEM等の解析を通じて、Ru種が凝集せず均一に表面に担持されたことを見出した。CO-DRIFT、XAFS解析により、Cu0.18Ru0.05CeOzと異なるRu種が表面に存在し、単原子種としていると推定した。長鎖系アルコールのアンモ酸化反応では、Ru単原子種がを従来のCu0.18Ru0.05CeOzと比較してより高い触媒活性で対応する長鎖系ニトリルを生成する事を示唆された。研究計画に沿って研究を順調に進め、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、これまでにRu単原子種を担持したCu0.18Ru0.008CeOzのRu単原子種がどのように存在するか、その直接的な証拠を共同研究(高分解能TEM)とXAFSフィッティング解析により押さえる。また、Cu0.18Ru0.008CeOzをH2還元処理を行い、Ru単原子種の酸化状態の調性を行い、表面のCu種と合金化等することで、高い触媒特性を生み出す事を狙う。 次に、令和5年度の共同研究から発展した、新規Ni-Ru-Ce複合酸化物の合成を完成し、遷移金属をCuからNiに変更させることで、Ceのレドックス機能の上昇と新たな触媒反応活性の生み出しを目指す。 さらに、in situ構造解析(酸化還元過程と気相反応過程)を進めることで、未だに明らかになってないNi-Ru-Ce複合酸化物の各金属の構造変化、触媒活性化機構解明も目指す。
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