2023 Fiscal Year Research-status Report
希少なマイナーイントロンが制御する遺伝子発現調節機構と進化・発がんの神秘の解明
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23KJ1147
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
雜賀 渉 滋賀医科大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | マイナーイントロン |
Outline of Annual Research Achievements |
主要ながん抑制遺伝子かつマイナーイントロン含有遺伝子であるPten遺伝子のマイナーイントロン(イントロン1)を完全にゲノムから欠失させたマウスモデルを作出した。本マウスモデルはサンガーシーケンスにより、イントロン1がゲノムから除去され、エキソン1とエキソン2が直接結合されていることを確認済みである。現在は本マウスの表現型解析からマイナーイントロンが欠如することの生物学的意義について順次検討を進めている。 Pten遺伝子は全身の臓器で発現しており、その遺伝子異常(Loss of function)による発がんの原発臓器も多岐にわたることから、以下のような項目について全身性・網羅的に解析している。 (1)遺伝様式、出生、成長・発達 (2)組織:HE染色、PTEN免疫染色を用いた各種臓器の病理組織学的解析 (3)造血器:正常造血、競合的/非競合的骨髄移植モデルによる造血再構築、造血幹細胞・前駆細胞分画におけるmRNA発現、加齢、ストレス造血 (4)一般血液検査(血算、生化学)、尿検査 (5)形態・行動・感覚器 (6)代謝(糖・骨密度・体脂肪) (7)循環器(心電図) 特に増殖・代謝が活発な造血器において興味深いデータが得られつつあり、in vitroで解析可能な細胞株を新たに作成する等して、追加の解析を実施中である。 また、ImputationによりSNP/SNVを復元したヒトの大規模ゲノムリファレンスデータからマイナーイントロン含有遺伝子を抽出し、発がんとマイナーイントロンのSNP/SNVとの関連について解析することで、Pten遺伝子以外のマイナーイントロン含有遺伝子と発がんとの関係についても同時に解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究実績は概ね実験計画通りに進めて得られたものである。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivoで確認された表現型について、再現性の確認や分子メカニズムの探索のため、in vitroで解析可能な細胞株を新たに作成する等して、追加の解析を実施中である。 また、ImputationによりSNP/SNVを復元したヒトの大規模ゲノムリファレンスデータからマイナーイントロン含有遺伝子を抽出し、発がんとマイナーイントロンのSNP/SNVとの関連について解析することで、Pten遺伝子以外のマイナーイントロン含有遺伝子と発がんとの関係についても同時に解析を進めている。
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Causes of Carryover |
次年度に購入を予定している物品の費用を考慮して、今年度分から一部を繰越しとした。
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