2023 Fiscal Year Annual Research Report
朝鮮五味子由来トリテルペンの全合成と抗HIV薬を指向したアナログ開発
Project/Area Number |
23KJ1180
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八木田 凌太郎 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2024-03-31
|
Keywords | トリテルペノイド / 全シス置換シクロプロパン / 根岸カップリング / 薗頭カップリング / 朝鮮五味子 / 抗HIV活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
Pre-schisanartanin A (1) は2007年に朝鮮五味子より単離されたトリテルペノイドであり, 抗HIV活性が報告されている (EC50 = 13.81 μg/mL). 天然物1はシクロプロパンの全ての主鎖置換基が同一面に位置している全シス置換シクロプロパン構造や, 高度に酸化された7員環などの新奇な構造をもつが, 1の全合成は未だなされていない. 本研究では, 高度に酸化された7員環をもつ左側フラグメントと, 全シス置換シクロプロパン構造をもつ右側フラグメントの薗頭カップリング反応による連結を鍵とした経路での1の不斉全合成を目指した. 左側フラグメントについては、すでにD-リボースを出発物質とした25段階の経路でその合成を達成している. そして2023年度は、右側フラグメントの合成を目指し, 既知の光学活性なラクトンを出発物質として, アミドを配向基とする根岸カップリング反応を鍵とする17段階の経路でその合成を達成した. 続いて, 合成した2つのフラグメントの薗頭カップリング反応による連結を検討したが, 左側フラグメントの4置換オレフィンをもつエノールトリフラートの反応性が低いことや, 右側フラグメントのビニルシクロプロパン構造の不安定性からその連結は困難であった. リチウムアセチリドのケトンへの求核付加反応や、アルドール反応を用いた連結も検討したが, 収率が低く再現性も得られなかった. これらの結果を受け, 左側フラグメントの反応性を向上させるため, 3置換オレフィンをもつエノールトリフラートを用いた薗頭カップリング反応を試みた. D-リボースから12工程で合成したエノールトリフラートと, 右側フラグメントを用いた薗頭カップリング反応は円滑に進行し, 連結体を収率91%で与えた. この連結体の誘導化により, 1の全合成が達成されるものと期待できる.
|