2023 Fiscal Year Annual Research Report
RCNMVの二本鎖RNAと移行タンパク質の植物細胞内動態に関する研究
Project/Area Number |
23KJ1189
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 昌汰 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2024-03-31
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Keywords | 植物RNAウイルス / 細胞間移行 / 移行タンパク質 / 複製複合体 / 二本鎖RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
植物ウイルスの細胞間移行に関わる移行タンパク質(MP)は原形質連絡およびウイルス複製複合体に局在しており、植物ウイルスの細胞間移行にとって重要であることが示唆されている。しかし、具体的な意義や局在機構は未解明である。研究代表者らの先行研究によって、主にマメ科植物を宿主とするred clover necrotic mosaic virusのMPと複製複合体がそれぞれに小斑点構造を形成し、凝集する過程が、MPと複製複合体が互いに共局在する現象と密接に関連していることが示された。本研究では、MPの細胞内局在に重要な領域とMPの局在に関わる宿主因子の同定を通じて、局在機構の解明を試みた。 MP内に予測されたαヘリックスの変異解析から、原形質連絡または複製複合体の局在において重要なアミノ酸残基をそれぞれ同定した。細胞間移行アッセイにより、細胞内局在性を失った変異MPは細胞間移行能を失うことが明らかとなった。さらに、IP-MS解析を用いて、原形質連絡への局在性を失った変異MPと野生型MPの相互作用因子を比較解析し、野生型MPにのみ相互作用しうる脱リン酸化酵素を同定した。また、MPの擬似リン酸化変異体を用いた解析により、MPの凝集および複製複合体への共局在にはMPのリン酸化が重要であることが示唆された。以上の結果から、MPの適切な細胞内局在はウイルスの効率的な細胞間移行にとって重要であることが明らかとなった。また、MPのリン酸化および脱リン酸化がMPの細胞内局在を制御する可能性が示唆された。 MPのリン酸化状態を調べるとともに、MPと相互作用するリン酸化、脱リン酸化酵素の機能を調べる目的で、これらをコードする遺伝子に変異を導入したニコチアナタバコの作出を行う予定である。
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