2023 Fiscal Year Research-status Report
前近代ハンバル学派におけるスーフィズム伝統の再検討
Project/Area Number |
23KJ1199
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原 陸郎 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
|
Keywords | イスラーム思想 / ハンバル学派 / 伝承主義 / スーフィズム / 中東地域研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまで進めてきたイブン・カイイム・ジャウズィーヤ(1350年没)のスーフィズム思想研究と、それに関連して彼が所属したハンバル学派のスーフィズム伝統についての研究を実施した。前者については、イブン・カイイムのズィクル(唱念)論に関する分析を行い、彼のスーフィズム思想の中でのズィクルの位置付けと、その伝承主義的な方法論を明らかにした。第65回日本オリエント学会年次大会と、パリで開催された京都大学イスラーム地域研究センター(KIAS)・上智大学イスラーム地域研究センター・フランス国立科学研究所(CNRS)のジョイントセミナーでその内容を発表し、国内外の専門家から指導・コメントを受け、研究を発展させることができた。 後者については、イブン・カイイムの弟子であるイブン・ラジャブ(1393年没)の『ハンバル学派列伝への補遺』という伝記資料を用いて、ハンバル学派内でスーフィー/スーフィズムがどのように描写されてきたのか、もしくはされてこなかったのかに着目し、伝記記事の分析を行った。ワークショップ "The Trends in Pro- and Anti- Sufi Movements” でその成果を発表し、近代アラブ・スーフィズム研究者のラシーダ・シフ教授(CNRS-CETOBaC)からフィードバックを受けることができた。 さらに、カイロ(2月1日~11日)とリヤド(2月12日~18日)で、研究遂行に必要なアラビア語資料に関して調査を実施し、写本と刊本を収集した。現地の大学や研究所、図書館では研究者との交流を深め、最新の研究動向の把握に努めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は博士論文に関連する研究発表を国内・国際会議で複数回実施したほか、エジプトとサウディアラビアでアラビア語資料を収集することができた。ハンバル学派の伝記資料やイブン・カイイム・ジャウズィーヤの思想に関する分析についても、計画通り進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度は研究成果をまとめて、学術雑誌への論文投稿と、博士論文の提出を目指す。
|
Causes of Carryover |
購入予定であった書籍が2023年度中に入荷しなかったため。次年度に差引額を物品費に充てる。
|