2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of sensor technology combining dielectrophoresis and oscillator techniques for sensitive detection and selective collection of microorganisms
Project/Area Number |
23KJ1207
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
Chen Siyao 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Keywords | 微生物検査 / バイオセンサー / 誘電泳動 / 発振器 / マイクロ流路 / 食品検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、食品工場における微生物検査と微生物利用のために、誘電泳動と発振器を組み合わせたワンチップセンサを開発し、迅速で簡便な操作性、高感度および高特異性を兼ね備えた微生物センサ技術の構築を目指している。 誘電泳動は不均一な交流電界を利用して、特定の対象物を選択的に引き寄せる技術であり、バイオセンサーと組み合わせることで、標識を使用せずに目標とする微生物の収集と計測を可能にする。本研究では、微生物量の測定に65GHz帯の発振器を使用している。この帯域は自由水の緩和振動に特化しており、微生物による自由水量の変化に着目することで、間接的に微生物の数を計測することができる。 本研究で使われるセンサーは、誘電泳動と発振器をマイクロレベルで統合し、誘電泳動でサンプル中の微生物を捕捉し、捕捉した微生物量を発振器で計測する新しい方式に挑戦している。基礎段階では、これらの相互作用と協同作業を検証し、統合された単一の素子(誘電泳動と発振器)が2匹の大腸菌を検出できる限界を実証し、この成果を学術論文として発表した。 続けて、食品中の微生物検査に特化し、ミネラルウォーター、お茶、牛乳などの飲料中の大腸菌の測定方法の開発に着手した。センサー上のマイクロ流路を改良し、二段階の誘電泳動操作を導入することで、前方での集菌と後方での計測を組み合わせた手法で検出感度を向上させることに成功した。誘電泳動は溶液と目標菌体の誘電特性の差異を活用する技術であるため、飲料の導電率は塩分やタンパク質などの溶質濃度に応じて高くなり、サンプル中の微生物を直接捕捉するのが難しくなる。この問題に対処するため、簡易の希釈法を試み、高導電率溶液を蒸留水で希釈し、導電率と夾雑物濃度を適度に下げることで、誘電泳動の機能を活かしつつ、食品検査に適した検出感度の達成を目指し国際論文の投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、誘電泳動と発振器の組み合わせにより、高感度な微生物検出が可能になった。誘電泳動設定と流路設計を最適化することで、サンプル中大腸菌濃度の検出感度を30分で10^4 cells/mLに向上することができた。また、飲み物中の大腸菌を食品粒子から分離し、迅速かつ簡便な実験手法で10^5 cells/mL帯の検出感度を実現できた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初の計画通り、誘電泳動とバッファー設定を最適化し、大腸菌と酵母菌を分離・収集を試みる。予備実験によると、これらの微生物は理論計算とは異なり、非常に類似した誘電泳動特性を示した。そのため、粒子の流体特性の差異を利用したフィールドフロー分別との組み合わせを検討している。さらに、予定外のクロレラの単一細胞レベルの脂質測定も検討している。
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Causes of Carryover |
今年度はチューブ用のペルチェを購入する予定だったが、温度管理が検出感度に影響を与えないことが判明したため、ペルチェを使用しない方法を模索する。また、細菌観察のために見積もった高感度の顕微鏡用カメラも、簡易な蛍光染色で十分な観察ができることが確認され、今年度においては必須ではないと判断した。これらの理由により、物品費の削減があり、次年度使用額145,291円が生じた。次年度には、Food Control と Computers and Electronics in Agriculture の2つの雑誌に論文を投稿する予定である。Food Control の投稿費用は研究費から支出する予定であり、円安の影響も考慮して、投稿費用が67万円になる見込み。これにより、次年度使用額にこの費用をある程度カバーすることを計画している。
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