2023 Fiscal Year Research-status Report
計算可能性に関する諸構造についての圏論的な一般理論の構築
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23KJ1365
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
星野 恵佑 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 二重圏 (double category) / relations / higher category |
Outline of Annual Research Achievements |
PCAや他のcombinatory algebra、さらにはCartesian restriction categoryなどの代数的構造に対して、そのrealizabilityや情報の概念を捉えるための(2)圏は、その代数的構造のみからは定まらず、そこから2圏への射、とくにrelationの成す2圏への射を考えることで初めて考えることができる、ということが多い。そのため、relationの成す2圏の構造を解き明かすことは、この研究計画にとって本質的な役割を果たすほか、この2圏は情報や論理の種々の理論に深く関わるため、幅広い分野にとっての貢献をもたらしうる。本年度書かれたDouble category of relations relative to factorisation systems (共著、arxivに公開済み、AustMSで発表) とそれに関係する諸研究(AusCatでの発表)はこの2圏をむしろdouble categoryとして捉え、relation等の成す構造を明らかにするものである。
一方、情報を理解するための構造は代数的構造と異なり、単なる関手ではない非代数的な射を考えるものとなることが観察される。これらの構造を捉えるためのフレームワークを追求すると、高次元の構造が現れることが観察できる。これをHigher Categoryの言葉で捉え直すことは本研究にとって本質的である。この点は私のweak omega categoryに関する研究(Weakly invertible cells in a weak ω-category, 共著, Higher Structuresにaccept済み)と深い関係にある。本論文ではとくに、代数的にhigher categoryを捉えるための基礎となる定理を証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進行に伴い、基礎の部分の重要性が研究計画時より明らかになってきており、それに伴ってより基礎的な部分の洗練がなされたが、当初の目的や研究方針とは異なった進捗状況となっている。 一方、基礎的な部分の洗練によって当初より広い範囲の分野に対する貢献をより期待できる状況になってきており、特にrelationについての研究は、計算可能性のみならず論理学などの近隣の分野への応用が期待される。このことは、計算可能性や計算の概念を他の諸分野との関連の只中で捉える、という当初の研究目的に適うものである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は計算可能性をrelationのなす圏論的構造の言葉で捉えることを中心的な戦略としている。そのため、relationのなす圏論的構造、特にdouble categoryの理解を深めることは本研究にとって本質的である。のみならず、今年の研究成果から、この作業が他の諸分野へも多くの応用を持ちうる道具を提供しうると考えるに至ったため、この方針での研究をより深めたいと考えている。 一方で、本研究の遂行のためには、その圏論的構造を用いassemblyなどの既存の計算可能性、realizabilityにまつわる諸概念がどのように復元されるかという点にアプローチする必要がある。この点については、研究計画当初のアイデアを、今年度構築した理論の上で整備することで、具体化して行くことを計画している。
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