2023 Fiscal Year Research-status Report
Development and deployment of novel strategies to dramatically increase the efficiency of intracellular delivery of extracellular vesicles
Project/Area Number |
23KJ1368
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 優奈 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / ドラッグデリバリー / 細胞内送達 / SARS-CoV-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞外小胞(EV)は細胞から分泌される膜小胞であり、内包するタンパク質や核酸を細胞から細胞へと受け渡す能力があることから、次世代の薬物キャリアとして期待される。しかし近年、EV内包分子の送達効率が低いということが示唆されている。本研究では、EVの薬物キャリア応用へ向け、EVの受容細胞への「取り込み」と「膜融合」の両方を促進する手法を開発し、飛躍的にEV内包分子の送達効率を高めることを目的としている。 本年度はEVの「膜融合」促進を狙って、近年パンデミックを起こしているSARS-CoV-2の膜融合を担うSpike (S) proteinを搭載したEVを作製した。S proteinを搭載していないEVでは膜融合がほとんど検出できないレベルであったのに対し、S proteinを搭載したEVでは、SARS-CoV-2の受容体ACE2や、感染に関与するセリンプロテアーゼTMPRSS2を発現する細胞に対して、極めて高い効率で膜融合を引き起こすことを見出した。さらに、任意のmRNAを内包するEVを用いてmRNA送達を検討したところ、S protein搭載EVではS proteinがないEVと比べて、mRNA送達によるタンパク質発現が44倍以上に増加することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は膜融合活性を有するウイルス由来タンパク質としてSARS-CoV-2のS proteinを用いた検討を行った。EVにS proteinを搭載することで、EVの取り込みと膜融合の効率が大幅に向上することを明らかにした。また、EVに内包される機能性分子の細胞内送達としてmRNAの送達に関する検討を行い、S proteinなしのEVと比較して40倍以上のmRNA送達によるタンパク質発現が見られた。このことからS protein搭載EVが高効率にEV内包分子を送達可能であることが示唆される。 以上の結果を踏まえ、本年度はEVの「膜融合」効率向上に対するSARS-CoV-2 S proteinの有用性を明らかにしたと考えており、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにS protein搭載EVを用いて、SARS-CoV-2が感染するようなACE2発現細胞に対して、mRNAを効率的に送達できることを明らかにした。そこで今後はSARS-CoV-2の感染阻害効果のある核酸を送達し、感染阻害効果が得られるかの検討を行う。 また、遺伝子工学的手法以外の方法で任意の機能性分子をEV膜上に提示するために、EV結合ペプチドの探索を行う予定である。EV結合ペプチドが得られた場合は、機能性分子とのコンジュゲートを作製し、EVに目的の機能が付与されるかどうかの検討を行う。
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