2023 Fiscal Year Research-status Report
Natural symbiosis technologies based on the diversity of ginger plant use in Lao PDR.
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23KJ1382
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石崎 楓 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 東南アジア大陸山地部 / ショウガ科植物 / 野生植物利用 / 村落空間利用 / 土地利用変化 / 人為植生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,ラオスの農業生態系においてショウガ科植物が生育する生態条件と多様性を住民の環境利用とのかかわりから総合的に評価することを目的としている。 今年度は2度ラオスに渡航し現地調査を実施した。 8月には、ヴィエンチャン県周辺村落およびシェンクワン県ポンサワン周辺村落において、村落空間内の二次林や焼畑耕地、道沿いなどの人為的かく乱環境において利用されるショウガ科植物の種・用途・利用部位・識別方法・植栽の有無といった利用実態に関する聞き取りを行った。また、各地の市場で販売されるショウガ科植物の産地および価格調査を行った。その結果、ヴィエンチャン県においては野生のカルダモンはかなり枯渇していることや、シェンクワン県においてこれまで採集されてこなかった野生のナンキョウの実をベトナム人の仲買人に販売するために採集し始めたことなどが分かった。また、市場で取引されるショウガ科植物を記録することができた。 10月~2月には、カウンターパートであるラオス国立大学に5か月滞在し、ショウガ科植物資源利用についての文献調査を行ったほか、カンバイ・カムピラヴォン講師らとの関係構築を行った。また近郊村落のホームガーデンで栽培される野生のショウガ科植物の栽培状況の調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の渡航は総じて、今後、調査対象村落における住み込み調査を実施するための予備調査であった。その意味ではおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下の調査・分析を実施する計画である。 ・2024年度:7月から4か月間、ラオスの調査対象集落に長期滞在して民族植物学的調査を行う。雨季・乾季のそれぞれの季節において、植物に関する知識が豊富な住民と共に村落内の道を歩き、有用ショウガ科植物が出現したらラオ語名や用途を聞き取る。出現した位置をGPSで記録し、植物のサンプルを収集する。得られたデータから、出現場所の地図と植物標本を作製し、同定を行う。半構造化インタビューにより、それぞれの植物の識別方法などを聞き取る。得られたデータから、出現場所の地図と植物標本を作製し、同定を行う。半構造化インタビューにより、それぞれの植物の識別方法などを聞き取る。全世帯を対象としたアンケート調査により、ショウガ科植物の利用状況について一般化する。 ・2025年度:空中写真を用いて調査対象集落の焼畑耕地を定量的に検出する。調査対象集落における有用ショウガ科植物の採集場所にコドラートを設置し、毎木調査、地形測量、土壌調査により植生と環境条件を明らかにする。マルチスペクトルカメラを用いて現在の植生を抽出し、オルソモザイク画像を生成する。GIS上にそれらのデータを集積したうえで、半構造化インタビューによって聞き取った情報を加えて土地利用を分析する。
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