2023 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Buddha's Nirvana paintings during Heian and Kamakura period
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23KJ1391
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大谷 弦 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 美術史 / 仏教美術 / 東アジア / 仏伝 / 仏画 / 涅槃図 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、平安鎌倉期における仏涅槃図の図像変遷の内実を明らかにすることを目指すもので、2023年度は以下の涅槃図を実見観察し、分析した。金剛峯寺本・西念寺本・東京国立博物館本・大福田寺本釈迦八相図・根津美術館本・東福寺本・万寿寺本・国清寺本・如願寺本・大谷寺本・盛林寺本ほか。特に西念寺本(重要文化財)については、熟覧の機会を得て撮影を含めた調査を実施し、その成果の一部を講演会において発表した。西念寺本は、画面内に古様と新様が混在する作例で、仏涅槃図の図像変遷を辿る研究上、重要である。また、西念寺本と類似する東京国立博物館本(重要文化財)についても実見の上、撮影を行った。特に、両本に共通する特徴の一つである、摩耶夫人(釈迦の母)の飛来を描かないことの意味とその位置付けについて検討した。今後さらに研究を深め、次年度以降成果を公表していきたい。 本研究が対象とする時代は平安鎌倉期であるが、当該期の他主題の仏教絵画についても研究を行うことで、研究内容が相対化され、その意義が深まるものと思われる。2023年度は密教絵画の中でも特に、童子経曼荼羅と呼ばれる別尊曼荼羅についても集中的に作品を実見し、研究を行った。その成果として『京都美術史学』第5号(2024年3月刊行)に論文「童子経の美術 -智積院蔵「童子経曼荼羅図」を中心に-」を発表した。童子経曼荼羅については、今後も継続して研究を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内所在の作品調査及び研究は順調に進捗している。次年度以降は、海外所在作品についても調査を一層意欲的に進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、海外所在作品についての調査を一層意欲的に進め、研究をさらに深化させる。特に大陸における文物の調査は、コロナ禍が落ち着き往来が容易になりつつあるため、状況をみて積極的に行っていきたい。
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Causes of Carryover |
初年度は、調査撮影のための機材購入費などの初期支出で、前倒し支払請求を行ったが、前倒し支払請求額全額を支出しなかったため、次年度使用額が発生している。よって研究計画上の遅滞はなく、研究計画通り遂行している。
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