2023 Fiscal Year Research-status Report
下肢の目標指向運動における運動指令生成過程およびその学習過程の解明
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23KJ1392
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森山 真衣 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Keywords | 運動学習 / 運動制御 / 目標指向運動 / 姿勢制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちが日々行う歩行や立位姿勢維持には、下肢の運動が大きく貢献している。下肢は、こうした身体重心を制御する運動に加え、ボールキック動作のように足先を目標に向かって制御する運動を行うこともできる。ボールキック動作は、目標位置に向かって足先を正確に制御することが求められる「目標指向運動」である。本研究は、こうした下肢の目標指向運動の学習過程を明らかにすることを目的とした。 ボールキック動作では、蹴り足の目標指向運動と同時に、反対側の軸足のみで不安定な立位姿勢を制御することが求められる。そこで当該年度の研究は、軸足の姿勢制御に着目した。中でも予測的姿勢制御の観点から、ボールキック動作という下肢の目標指向運動を学習する際の姿勢制御について、検討を行った。運動課題は、立位でキック動作を行い、仮想空間内で標的を狙う課題とした。課題の途中から被験者には伝えずに、足先の位置と対応したカーソルの軌跡を操作することで、蹴り足の運動学習を誘発した。すると、蹴り足が動き出す前に、軸足で予測的な姿勢制御が行われており、この予測的な姿勢制御は、蹴り足の学習よりも緩やかに進むことが明らかとなった。この研究成果は、日本バイオメカニクス学会主催の研究会彗ひろばや、日本を代表する運動制御研究者が集まるMotor Control研究会、および国際学会Congress of International Society of Biomechanicsにて発表し、国内外の研究者と意見交換を行った。これらの意見を踏まえて執筆した論文は、国際誌Scientific Reportsに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、実験結果をまとめ、国内の研究会および国際学会にて発表を行った。さらにこの成果を国際雑誌に掲載することができたことから、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の研究成果より、蹴り足の目標指向運動の制御と軸足の立位姿勢制御は、包括的に捉えて検討していく重要性が示された。したがって、ボールキック動作のような下肢の目標指向運動の学習過程を明らかにするためには、そもそも不安定な立位姿勢の制御が求められない場合の純粋な下肢の目標指向運動が、どのように学習されるのかを明らかにする必要がある。現在、座位での下肢の目標指向運動学習課題の実験システム構築が完了し、予備実験を行っている。今後は本実験とデータ分析を進め、得られた研究成果を学会にて発表する。また今年度内の国際誌への投稿および受理を目指す。
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Causes of Carryover |
昨年度は当初、計画より研究が進んでおり、次の実験システムを構築するため科研費の前倒し申請を行なった。しかしながら予定よりもシステム構築に時間を要したため、前倒しした金額を使い切ることができず、次年度使用額が生じた。繰り越し分は物品費として使用する予定である。
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