2023 Fiscal Year Research-status Report
圧縮性粘弾性流体方程式の時空間非一様流れの安定性解析
Project/Area Number |
23KJ1408
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石垣 祐輔 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 圧縮性粘弾性流体方程式 / 定常解 / 安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は, 非有界領域上の圧縮性粘弾性流体方程式の非一様流れの安定性解析を通じて, 弾性体のもつ反作用の影響を解明することを目的とする. 今年度は, 1次元半空間における流出定常解の安定性解析と3次元非有界領域における静止定常解の安定性解析を行った. 1.1次元半空間における流出定常解の安定性解析について, 以下のように得た. まず, 定常問題を考察し, Mach数と弾性せん断波の伝播速度を用いて流出定常解の存在条件を次のように特徴付けた. Mach数が1より大きい状態で, 弾性せん断波の伝播速度をあるところまで小さくすると, 流出定常解が存在することを示した. 一方で, Mach数が1以上あるいは弾性せん断波の伝播速度をある値以上であれば, 流出定常解が存在しないことを示した. 定常問題の考察に基づき, 弾性せん断波の伝播速度がある値以上大きい状況では, 弾性力による反作用が強く働き, 境界面での流出を防ぐことがわかった. その後, 方程式の未知関数である密度・変形テンソルのもつ制約条件を利用して,流出定常解の漸近安定性を示した. さらに, 初期摂動に関する多項式関数・指数関数の重み付きの仮定のもとで, 定常解への解の収束レートを導出した. 2.3次元非有界領域における静止定常解の安定性解析については,カギとなる全空間・有界領域上の線形化問題の解析に取り組んだ. これら解析を通じ, 境界付き非有界領域上における解の拡散波(音波・粘性拡散・弾性せん断波による三者の相互作用)の現象の解明に向けて,土台となる線形解の性質を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1次元半空間における流出定常解の漸近安定性に関する結果は2本の論文(退化型定常解・非退化型定常解)にまとめたが,いずれも初期摂動のなめらかさの仮定を緩和できる可能性を発見したため, 現在修正中である. 2本の論文は, 今年度中の投稿を目指す. 3次元非有界領域における静止定常解の安定性解析は,カギとなる全空間問題の線形解をレゾルベント問題で再考し,弾性せん断波の影響を及ぼす性質・構造を把握したところまで進め, 全空間・有界領域を組み合わせた解析に取り組む段階に至っている. 以上を考慮し, 本研究の進捗状況はやや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
境界付き非有界領域上における解の拡散波現象の解明に向けて, 現時点での静止定常解まわりの線形化解析を進める. その解明のため, 線形解および非線形問題の解の減衰評価の導出を目指す. その後, 平行平板間に流れる平行流の安定性解析を行う. まず, 弾性せん断波の伝播速度が大きい状況において, 局所的摂動に対する漸近安定性を密度・変形テンソルに関する制約条件とエネルギー評価を利用して証明を試みる. 次いで, 弾性せん断波の伝播速度が小さい状況で, 平行流が不安定性かどうか, 線形化問題のスペクトル解析を導入して考察する予定である.
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Causes of Carryover |
学術条件整備費で一部支出を補填したため, 次年度使用額が生じた. 当該年度に引き続き, 解析手法の拡充と新たな問題の発掘に向けて, 国内・国外の研究集会の出席のための旅費および偏微分方程式関連図書の購入に充てる.
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Research Products
(3 results)