2023 Fiscal Year Research-status Report
Epigenetic regulation of differentiation factors by a novel HP1 binding protein RLF
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23KJ1457
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 仁将 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Keywords | クロマチン / ヘテロクロマチン / HP1 / 遺伝子発現制御 / ヒストン修飾 / エピジェネティクス / マウスES細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子発現制御は クロマチン構造の変換によって制御され、一個体の中で同じ遺伝情報を持つ個々の細胞が異なる機能を獲得するために重要である。本研究室では、遺伝子発現の不活性なヘテロクロマチンの主要な因子であるHP1に結合する因子としてRLFが同定された。マウスES細胞でRlfとそのパラログであるZfp292のノックアウトを行った。結果、どちらか一方のノックアウトでは異常が見られなかったが、2つの因子を同時にノックアウトすると、マウスES細胞の増殖能が著しく減少し、マウスES細胞特有のコロニーを形成していない分化した細胞が現れた。また、RlfとZfp292それぞれにFLAGタグを付加し、IP-MSによって相互作用タンパク質を同定した。2つの因子はそれぞれHP1以外に、ヒストン脱アセチル化酵素とも相互作用していることが明らかになった。これらの結果から、RlfとZfp292は重複した機能を持っており、マウスES細胞の未分化性を制御していると考えられる。さらに、ChIP-seqによってRlfとZfp292それぞれのゲノム上での分布を解析したところ、エンハンサーやプロモーターといったユークロマチン領域に局在していることが明らかになった。このことから、RlfとZfp292はHP1というヘテロクロマチンの主要な因子に結合しながらも、ユークロマチンにおいて遺伝子発現制御を行っているという、新しい遺伝子発現制御様式を取っていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RlfとZfp292が重複した機能を持っていること、また、ヘテロクロマチン因子であるHP1に結合するにも関わらずエンハンサーやプロモーターといったユークロマチン領域に局在することを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果を基に、RlfとZfp292による遺伝子発現制御のメカニズムについて詳細に調べる。具体的には、ヒストン脱アセチル化酵素との相互作用が確認できたことから、ヒストンアセチル化などのヒストン修飾に関するChIP-seqを行い、RlfとZfp292の欠損による影響を調べることによって、これらの因子がヒストン修飾にどのように影響を与えるのかについて議論する。また、マウスES細胞の分化系を用いることによって、RlfとZfp292が細胞分化においてもつ役割について明らかにする。
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Research Products
(1 results)