2023 Fiscal Year Research-status Report
正方格子上の曲がったドメインウォールを用いた、重力下のカイラルゲージ理論の定式化
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23KJ1459
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青木 匠門 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Keywords | カイラルゲージ理論 / 格子ゲージ理論 / Atiyah-Singerの指数定理 / トポロジー / ボルディズム不変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は曲がったドメインウォールを用いて曲がった時空上のWeylフェルミオンの構成をめざした。具体的には3次元の正方格子空間で2次元球面状のShamir型のドメインウォール質量をもつフェルミオン系を解析した。通常のドメインウォールはフェルミオン質量の符号が反転する境界であるが、Shamir型は正の質量を無限大にすることで定義される。これは正の質量の領域を無視し、負の質量が割り当てられた部分だけを考えることと等価である。平坦なドメインウォールの場合は境界が2枚必要であり,それぞれに逆のカイラリティを持ったWeylフェルミオンが生じるために,その低エネルギー有効理論はベクターライクである.一方でドメインウォールが球状の場合、境界が一枚でできるため単一のカイラリティを持ったWeylフェルミオンが低エネルギーで現れると期待される。
ゲージ場がないときは、単一のカイラリティを持ったWeylフェルミオンが境界に生じることがわかった。一方でゲージ場があるときはその限りではない。例えばモノポールが作るゲージ場中では、UV領域の正則化のためのWilson項がモノポールの周りで正の質量の領域を作り、反対のカイラリティを持ったWeylフェルミオンがモノポールに局在する。そして低エネルギー領域では、正と負のカイラリティの状態が混ざってしまい、カイラルな格子ゲージ理論への障害になることを明らかにした。さらに我々は、この障害がAtiyah-Singer指数のボルディズ不変性に由来するものだと指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単一のドメインウォール上に局在するWeylフェルミオンについての解析的,数値的な解析を行い、その成果を論文として発表できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
SU(5)といったスピンボルディズム群が自明になるようなゲージ群によって、この問題を回避する方法を考察する。
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