2023 Fiscal Year Research-status Report
Geometric structures on surfaces and harmonic maps
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23KJ1468
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂井 健人 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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Keywords | タイヒミュラー空間 / 調和写像 / Gromov-Hausdorff収束 / 双曲曲面 / 正則2次微分 |
Outline of Annual Research Achievements |
曲面上の双曲構造の退化に関して,以下の研究を行った.得られた結果は,論文にまとめ,研究集会やセミナーで口頭発表を行った. 本研究では,調和写像を利用することで,双曲構造の変形空間であるタイヒミュラー空間をリーマン面上の有理型2次微分の空間でパラメータ付けすることを考える. ここでは主に,有理型2次微分の空間における半直線に沿った双曲構造の退化を考察した.まず最初に,双曲理想多角形の場合を着手した.この場合,パラメトライズする2次微分は複素平面上の多項式の形をしており,無限遠点で位数が3以上の極をもつ.退化をGromov-Hausdorff収束で考えると,複素平面全体で一様に収束することがわかった.この場合収束する距離空間は単体的metric treeであり,比較的理解しやすいものである. 一般の基本群が非自明な曲面の場合は,普遍被覆に持ち上げられた計量から定まる距離の退化を考えた.この場合,有理型2次微分は位数が2の極を許容する.退化を記述するために,穴あき曲面の基本群から定まるケーリーグラフのGromov境界を双曲平面に取り付けた位相空間を導入した.これは通常の双曲平面の理想境界とは異なるものである.その結果,そのエンドの近傍を除いた領域で,双曲理想多角形の場合と同様に,一様な退化が起こっていることが示せた. 退化は距離空間として記述する方針を取ったが, 応用として従来の目標であった長さ関数の観点でも収束先を記述することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題において重要なステップである半直線に沿った退化を,想定より詳しい形で記述することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
半直線に沿っているとは限らないような退化の研究に着手する.この場合,有理型2次微分からさだまる測度付き葉層構造のサポートが変化するので,考察は難しくなるが,簡単な曲面に対して考察を行うなどして手がかりを掴み,研究を推進していく.
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Causes of Carryover |
必要書籍の購入や旅費を適切に行うことが残額の範囲では難しかったため.次年度使用額については,書籍や必要物品,および海外研究集会に対する旅費などに適切に使用する.
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