2023 Fiscal Year Research-status Report
Simultaneous independent determination of proton- and neutron-distribution radii in atomic nuclei
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23KJ1535
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高山 元 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 核半径 / 不安定核 / 相互作用断面積 / 荷電変化断面積 / 物質半径 / 荷電半径 / 中性子スキン / 中性子過剰核 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子核の陽子・中性子分布半径をそれぞれ独立して決定することは、原子核物理学において興味深い発見を導くだけでなく、核物質状態方程式の解明とそれによる中性子星の構造理解を通じて宇宙物理学にも大きな貢献をする。このため、原子核衝突の確率である相互作用断面積を用いて核物質半径(陽子・中性子を区別しない核子の分布半径)を測定するための既存の方法に加えて、荷電変化断面積(原子核衝突時に入射核の陽子数が変化する確率)を用いて陽子分布半径を測定するための新たな方法の開発を進めている。そして、核半径データのない質量数 20 以上の核や、超中性子過剰スズ同位体での測定を行い、陽子・中性子分布半径の同時独立決定を目指している。令和5年度の主な進捗状況は以下の三点にまとめられる。 (1) LiとBe同位体の複数の標的に対する荷電変化断面積や既知の陽子分布半径の間の関係を研究し、荷電変化反応の未解明だった反応機構について明らかにできた内容を国際学会で発表した。この研究によって陽子標的と炭素標的を含む複数の標的での測定の有用性を示した。 (2) Cu同位体の相互作用断面積と荷電変化断面積の解析を行った。陽子・中性子分布半径の導出についての解析は現在進行中である。 (3) 理研RIBF施設で相互作用断面積と荷電変化断面積の実験準備を進めた。2023年度から文科省と理研で実施されている「TRIP」プロジェクトの一環として、2024年5月に理研RIBF施設で実施が予定されている実験では、質量数 20 以上の数十の核種での測定を行う。そのための検出器の組み立てとテスト実験を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績で述べた通り、2024年5月下旬に行われる予定の TRIP 実験の準備を着実に進めることができた。また、データ解析の高度化や荷電変化断面積から荷電半径を導出する手法についての研究を進めることができ、幅広い核種での陽子・中性子分布半の同時独立決定を実現する手筈が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度中に現在進行中の Cu 同位体の相互作用断面積と荷電変化断面積の解析、議論を進め国際会議での発表や学術論文として出版して成果公表することを目指す。同時に、TRIP 実験実施後は得られた実験データを共同研究者らと分担してデータ解析する。また、2024年度下半期に理研RIBF施設で実施予定であるスズ同位体での実験を行うために、実験計画と準備も進める。
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