2023 Fiscal Year Research-status Report
新奇タンパク質凝集体SHOTAから探る二次タンパク質品質管理
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23KJ1610
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
難波 匠太郎 岡山大学, 環境生命自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 凝集体 / 酵母 / シャペロン |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞生理の悪影響に伴い、タンパク質凝集体が観察されることから、凝集体形成は細胞生理に悪影響をもたらすと考えられてきた。しかし近年、凝集体は毒性原因ではなく、むしろ細胞保護的に働いているという仮説が提示された。本研究では、独自に発見した凝集体SHOTAに注目し、凝集体形成メカニズムと細胞生理に与える影響について調査する。
2023年度は以下の実験を実施した。 1 凝集体の構成タンパク質同定:凝集体を形成に必須なタ ンパク質を同定するため、凝集体中のタンパク質を同定した。凝集体を含む不溶性画分について質量分析を行ったところ、解糖系関連タンパク質とシャペロンタンパ ク質Hsp70の存在が示唆された。Hsp70については蛍光顕微鏡による共局在解析により、凝集 体内部に存在していることが示された。現在、Hsp70関連タンパク質と凝集体の関連について 実験を行っている。 2 凝集体の動的性質解析:細胞には、流動性が低い固相の凝集体と流動性が高い液相の凝集体が存在する。本研究で扱う凝集体がどちらの性質を有する凝集体か判別するために、共焦点顕微鏡による光退色後蛍光回復(FRAP)実験を行った。その結果、凝集体は流動性が低い固相の凝集体であると判明した。一方、凝集体内部に存在するHsp70は流動性 高く液相であることが示された。今後、固相の凝集体のなかでHsp70が動的に存在できるメ カニズムと、凝集体形成との関連性について研究を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
凝集体に含まれるタンパク質について、同定を完了した。現在、遺伝子欠損株を用いた凝集体形成関連遺伝子の探索を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子欠損株スクリーニングの結果をもとにして、凝集体形成が細胞生理に及ぼす影響について調査する。
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Causes of Carryover |
当初遺伝子欠損株スクリーニングを行う予定であったが、使用するマイクロプレートリーダーが故障した。そのため、今年度は顕微鏡観察による凝集体物性測定を主に行った。 今年度の繰越分は、今年度行う予定であった遺伝子欠損株スクリーニングのための物品費として利用する。
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