2023 Fiscal Year Research-status Report
サリドマイドの副作用である催奇形性を回避する標的タンパク質分解誘導剤の開発
Project/Area Number |
23KJ1669
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
降旗 大岳 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 標的タンパク質分解誘導剤 / 催奇形性 / ユビキチン-プロテアソーム系 / サリドマイド / 薬剤開発 / 構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
サリドマイド型標的たんぱく質分解誘導剤の薬理作用を利用して副作用を回避させる薬剤開発を実施している. サリドマイドの生体内の受容体であるセレブロン(CRBN)はE3リガーゼの構成要素でDDB1と複合体を形成して機能している. CRBN単独での生細胞を用いた過剰発現は困難であるため, 変異およびDDB1との結合領域を削除させて, 大腸菌での発現を可能にしたデザイン(CRBNmidi)を使用した. サリドマイド類似体で臨床への試行が進んでいるMezigdomideを介したCRBNmidiおよび免疫調節作用に関わるIKZF1のZFドメインとの結晶構造解析を実施し, Mezigdomideの位置を高分解の回折データで決定した. MezigdomideはCRBNmidiとは他のサリドマイド類似体と同様の結合様式をしており, サリドマイド結合領域から露出してCRBNmidiの表面上に位置していた. Mezigdomide周辺の水分子の配置はこれまでに報告されているサリドマイドを介したCRBNとZFドメインの構造中の水分子と類似していた. CRBNは低分子化合物が結合することでループ構造が隆起して, サリドマイド結合領域の側面を覆い, 低分子化合物と衝突せずに位置している. ループ構造のHis残基が水分子と結合がMezigdomideを介した複合体の構造中でも確認され, Mezigdomideの特定の残基はこのHis残基を回避するように結合していた. Mezigdomideを介したIKZF1とCRBNとの相互作用がIKZF1への作用を強化しており, その仕組みを理解して新たな修飾基を検討する. 更に, CRBNmidiを用いたサリドマイド型標的たんぱく質分解誘導剤の効率的なスクリーニングの展開が期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サリドマイドによる副作用に関わるSALL4およびPLZFへの作用を制御するサリドマイド類似体について報告し, これらの類似体を基礎とした誘導体による作用の評価が今後期待される. CRBNmidiを用いることで, 薬剤結合前後のCRBN全長の動態を含んで評価することが可能になり, CRBNmidiを用いた構造解析からの知見も含めて, 薬剤依存的なCRBNによる基質の結合誘導の仕組みおよび動態を推測することが可能になった. 薬剤の構造および修飾による個々の特異的な作用を同定するために, 複数の解析手法を利用して今後取り組んでいく必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
標的たんぱく質分解誘導剤を介した複合体を形成しているCRBNおよび基質がE3リガーゼ上でユビキチン化依存的なプロテアソームによる分解が起きる分子機構を利用して, 副作用の軽減を更に促進する化合物を検討して評価していく. CRBNの薬剤結合時の動態とE3リガーゼによるユビキチン化の分子機構から, 標的たんぱく質分解誘導剤依存的なユビキチン化と分解の強度の関連性の推定を行う. 近年ではサリドマイドと類似の骨格を模した新規な標的たんぱく質分解誘導剤も報告されており, それらの薬剤による評価も考慮しながら実施する.
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Causes of Carryover |
本年度の研究結果について報告を検討したのが年度後半であり, 一部解析を継続しており, 次年度ではより高分解な構造解析データの取得を実施予定で, これらの研究成果等を基にした研究発表も行う予定で, その費用として未使用額を使用する. また, 標的たんぱく質の分解を評価するために細胞の培地が必要で, それらの試薬にも使用する.
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