2023 Fiscal Year Research-status Report
単一磁束量子回路を用いた汎用プロセッサのアーキテクチャに関する研究
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23KJ1726
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石川 伊織 九州大学, システム情報科学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 単一磁束量子回路 / ベクトルプロセッサ |
Outline of Annual Research Achievements |
当年度は単一磁束量子(Single Flux Quantum: SFQ)回路を用いたベクトルプロセッサの性能を評価するための環境の構築を行った。SFQ回路ではゲート1段ごとにパイプラインを区切るゲートレベルパイプラインが適しているなど、CMOSとは異なる特性を有しており、 正確な性能シミュレーションのためにはSFQ回路特有の事項を考慮したコンポーネントのモデルが必要となる。 演算器やデータパスなどのプロセッサの基本的な要素についてはこれまでに提案・評価がなされており、それに基づく評価が可能であるが、ベクトルレジスタファイル等のベクトルプロセッサ特有の要素については提案がなく、性能(アクセスレイテンシ等)のモデリングが必要であった。特にSFQ回路はランダムアクセスメモリの構成に不向きであり、比較的大きな容量のベクトルレジスタファイルを従来のCMOS同様に実装するのは現実的ではなく、循環型シフトレジスタを用いた構成となる。 循環型シフトレジスタは所望のデータを読み出すに当たり、当該データのあるところまでシフトを行い、その後読み出す。そのためデータの存在位置およびシフトレジスタの初期状態によってアクセス時間が大きく異なる。そこで、そのような特性を考慮したモデリングを行っている。 今後、このモデルをプロセッサシミュレータに組み込み、SFQベクトルプロセッサの性能評価およびアーキテクチャ探索を進めてゆく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定と比較すると評価環境の構築に時間がかかっており、未だ具体的なアーキテクチャ探索の段階に到達していない。そのため、研究の進捗としてはやや遅れがあると感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
当年度中に構築を行った評価環境(シミュレータおよびプロセッサコンポーネントの性能モデル)を用いたSFQベクトルプロセッサの性能評価を行い、ボトルネック解析をする。それによりSFQ回路の高速動作を阻害している要素を明らかにし、適切なベクトルプロセッサのアーキテクチャの提案を行う。また、電力および面積についても評価を行い、従来のCMOSプロセッサに対する有効性を明らかにする。そして、これらの結果に基づく論文発表を行う。
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