2023 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒レーザ誘起水中マイクロ衝撃波の生成機序・伝播機構解明と細胞への局所刺激
Project/Area Number |
23KJ1752
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 歩夢 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2024-03-31
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Keywords | マイクロ衝撃波 / フェムト秒レーザ / 高速度撮影 / 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,パルス幅が260 fsの近赤外線レーザを液体中に集光して生成したマイクロ衝撃波の高速度撮影を行った.実験にはシャドウグラフ法を適用し,衝撃波を可視化しやすくする狙いから,初めに液体媒質に圧縮性の高いシリコンオイルを使用して実験手法を確立し,その後で蒸留水中での撮影を行った.結果として,いずれの媒質中でもレーザ集光直後の時刻におけるマイクロ衝撃波の生成と,伝播挙動の可視化に成功した.特に蒸留水を用いた場合については,マイクロ衝撃波と微小気泡の光学的計測の結果と比較することで,レーザの集光から約200 nsの時間にマイクロ衝撃波が生成されていることを明らかにした.また,衝撃波画像の輝度の空間変化から,圧力変化と厚さを算出して衝撃波圧力の空間的な減衰を確認するとともに,厚さは媒質によって変化する可能性が示された.一方,本実験ではシャッタスピードを十分に短くできず,詳細な分析に向けてはレーザ集光直後でのより高速な撮影が必要である. 次に,レーザ集光部での衝撃波圧力を実験的に調べるのは困難なため,数値解析により生成初期のマイクロ衝撃波の圧力履歴を調べた.従来の解析では,状態方程式にTaitの式を用いることでエネルギ保存則を考慮していなかったため,本解析では状態多項式を適用し,エネルギ保存則を含む解析モデルへと改良した.結果として,Taitの式のみを用いた場合との比較より,状態多項式とエネルギ保存則を用いる場合にはピーク圧力がわずかに上昇することがわかった.しかし,圧力差は状態方程式を変えたことによるものであり,エネルギ保存則の影響は非常に小さいものとなった.また,実験と異なり圧力履歴に大きな負圧が現れることと,空間的な圧力減衰が非常に速いといった課題が残った.今後は,レーザ集光領域におけるエネルギ分布等も考慮した解析へ改良していく必要がある.
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