2023 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中再発時の重症化予防に対する運動療法効果の検証および脳内作用機序の解明
Project/Area Number |
23KJ1778
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
谷 明 鹿児島大学, 保健学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2024-03-31
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Keywords | 予防運動 / 神経保護 / 脳梗塞再発 / ET-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中再発時の重症化予防に対して身体運動の効果は明らかになっていない。われわれは、脳卒中前の継続的なドレッドミル運動介入が神経保護効果をもつためのプレコンディショニングとして有効であると報告してきた。本研究では、脳卒中後の運動介入が、脳卒中再発時にも神経保護効果をもつかどうかを検討し、組織化学・生化学的な解析によって予防運動に寄与する神経科学的機序を明らかにする。 本年度は脳梗塞再発モデルの作成を行った。再現性のある再発モデルを作製するために、動脈周囲への血管収縮物質の注入モデルであるエンドセリン(ET)-1を用いた脳梗塞モデルの作成を実施した。イソフルラン麻酔下で、左前頭前野(ブレグマから前:3mm、内側:1mm、深さ:4mm)にET-1を1μl (400pmol/μl)注入した。コントロールとして、sham群として、同部位に生理食塩水1μl注入して比較検討を行った。その結果、ET-1注入群は死亡率が少なく、運動麻痺をほとんど認められなかった。HE染色で左前頭前野を観察すると不明瞭ではあるが、梗塞像を認めた。そこで、アストログリアの活性化をGFAPの免疫染色で観察した結果、明らかに、sham群や対側とは異なり、左前頭前野周囲にGFAP陽性細胞の増加を観察した。 今年度の研究成果としては、中大脳動脈の虚血再還流による脳梗塞モデルと異なり、ET-1モデルは術後の死亡率も少なく、運動麻痺もほとんど見られないことから、安定して脳梗塞が作成でき、再発モデルとして使用可能だと判断された。
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