2023 Fiscal Year Research-status Report
STING小胞クラスターのミクロオートファジー分解機構
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23KJ1785
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
朽津 芳彦 福島県立医科大学, 医学(系), 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | リソソーム / STING |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体に局在する膜タンパク質STINGは、ウイルス感染などによって細胞質中に出現したDNAによって活性化し、I型インターフェロンや炎症性サイトカインの産生を通じて自然免疫シグナルを誘導する。STINGは、DNA刺激に伴って、小胞体からゴルジ体へと局在を変化させることで下流シグナルを活性化する。その後、STINGはリサイクリングエンドソームを通過し、最終的にリソソームへと運ばれる。超解像度ライブセルイメージングにより、STINGのリソソームへの輸送過程を観察すると、DNA刺激後3時間でSTINGがリソソームに接近したのち、約30秒でリソソーム内に直接取り込まれ、約80秒で分解される現象を多数捉えた。続いて、「光-電子相関顕微鏡法/CLEM法」により、STINGおよびリソソームを観察した。その結果、STINGは小胞の集合体(STING小胞クラスター)として観察されたのちにリソソームへと直接取り込まれることが判明した。さらに、ミクロオートファジーの最終過程であるリソソームへの取り込み過程を制御する遺伝子群として、ESCRT (endosomal sorting complexes required for transport)複合体を同定した。ESCRT複合体の発現抑制条件下では、STINGシグナルが有意に増強されていたことから、ミクロオートファジーがSTINGシグナルの収束に必要であることが明らかになった(Kuchitsu et al, Nat. Cell Biol 2023)。このように、ミクロオートファジーの最終過程の分子機構については明らかになりつつあるが、STINGがどのように認識されて、リソソームへと取り込まれるのかについてはわかっていない。本研究では、STINGを基質モデルとすることで、ミクロオートファジーの基質特異性を決定する分子機構を解明することを目的とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、STINGのリソソーム分解をハイスループットに評価できる実験系を構築した。具体的には、Firefly Luciferase(P2A切断配列)NanoLuc Luciferase-STING 安定発現細胞を樹立した。さらにキナーゼ阻害剤 ライブラリー(約150種)を用いてSTINGの分解を制御するキナーゼ阻害剤を同定した。解析の結果、当該キナーゼ阻害剤を添加することで、STINGがリソソームの外に蓄積し、STING依存的な下流応答が有意に持続することがわかった。以上の結果から当該キナーゼを阻害することで、STINGのリソソームミクロオートファジー分解が阻害されていることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度明らかになったSTINGのミクロオートファジー分解の新規メカニズムを原著論文として発表する。
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Causes of Carryover |
来年度、大規模siRNAスクリーニングを計画していており、その試薬等の購入費に充てる。
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