2023 Fiscal Year Research-status Report
異宿主発現系を基盤とした植物寄生性線虫孵化誘因物質の生合成解明とその生産系の確立
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23KJ1813
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
岡本 拓実 静岡県立大学, 薬食生命科学総合学府, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | ジャガイモシストセンチュウ / ソラノエクレピンA / 異宿主発現 / バイオインフォマティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
世界中で甚大な被害をもたらしているジャガイモシストセンチュウ(potato cys tnematode: PCN)の孵化誘因物質として知られているsolanoeclepin A(solA)の生合成遺伝子・経路の同定を目指した。採択前には、ナス科植物のモデル植物であるマイクロトムを用いたゲノムのリシーケンシングや孵化活性に準じたトランスクリプトーム解析を行うことによって、いくつかの遺伝子を生合成候補遺伝子として挙げていた。これをもとに、本年度はNicotiana benthamianaをもちいたアグロインフィルトレーション法による遺伝子の一過性発現を行った。特に、酸化酵素であるP450に焦点を当て、実験を行ったところ、野生株では確認できない化合物ピークをいくつか発見することができた。そこで、現在は、この新たな化合物の解析に取り組んでいる。また、同じ植物寄生性センチュウであるダイズシストセンチュウ(soybean cyst nematode: SCN)に関しても、マメ科植物のモデル植物であるミヤコグサを用いて実験を行っている。まずは、ミヤコグサでのSCNの孵化活性が確認できていなかったので、PCNの場合と同様に水耕栽培での検証、また、ミヤコグサの突然変異系統であるスーパールートを用いた培養組織での孵化活性試験を行った。その結果、水耕栽培液では孵化を確認できなかったが、スーパールートの培養組織そのものの抽出液で孵化を確認できた。これより、今後はスーパールートを実験材料として研究を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の1年目に計画していた、遺伝子の異宿主発現を候補遺伝子に対して行えており、また、その結果生じた新たな化合物に対して解析を行えている。さらに、2年目に計画しているノックアウト体の作出にも取り掛かっているため、おおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている種々の異宿主発現を引き続き行うことによって、多くの生合成遺伝子を同定していく。また、それらの遺伝子を対象とした植物ノックアウト体、ノックダウン体の作製を行うことによって、遺伝子の機能解析を詳細に進めていく。加えて、新たに始めたダイズシストセンチュウに関する研究を絡めながら、solAの生合成の全容解明を行う。
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Causes of Carryover |
実験上、繰り返し培養のできるものが多く、そのため出費を抑えることができた。次年度からは新たにダイズシストセンチュウに関する研究を行い、それに関する詳細なNGS解析を行う予定になっている。
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