2023 Fiscal Year Research-status Report
Exploring the cancer microenvironment after immunotherapy based on spatial transcriptome analysis
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23KJ1912
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岩澤 智裕 慶應義塾大学, 医学研究科(信濃町), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 空間的トランスクリプトーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害薬(ICB)に対して抵抗性の検体を含む、慶應病院泌尿器科の手術検体合計32サンプルをVisium空間トランスクリプトーム解析に提出した。当初は空間トランスクリプトーム解析結果のみを用いて泌尿器がんの微小環境の解析を行っていたが、空間的な遺伝子発現の分布は評価できるものの、空間的に発現レベルが異なる遺伝子についてどのような細胞サブセットに由来しているかを特定することが困難であった。そこで、Chromium fixed RNA profilingを合計16サンプルについて追加で実施することによって、32サンプル中16サンプルについて空間トランスクリプトーム解析と対応するシングルセルRNAシークエンスのデータをペアで解析することが可能となった。次に、シングルセルRNAシークエンスのデータを空間トランスクリプトーム解析の結果に落とし込むことにより、個々の細胞サブセットがどのように局在するかの解析を実施した(Deconvolution解析)。Deconvolution解析を通じて、がん微小環境に存在する線維芽細胞の表現型と癌細胞からの距離との間に興味深い関連があることに着目し、線維芽細胞を介した免疫逃避のメカニズムについての仮説を樹立した。現在は、癌細胞周囲に存在する特殊な線維芽細胞が作り出す微小環境の機能とこれによる免疫逃避のメカニズム解明に向けた実験系の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初空間的トランスクリプトーム解析のみのデータからバイオインフォマティクス解析を行っていた際には、十分なデータの解釈ができずに苦慮したが、シングルセルRNA解析のデータを組み合わせることによって詳細な解析のための糸口を掴むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
C57BL/6マウスに対して膀胱癌細胞株MB49を経尿道的に接種することで膀胱内に腫瘍を形成する同所性モデルを研究室内で既に確立しているが、線維芽細胞と膀胱癌細胞を混ぜたものを膀胱内に接種する新たなモデルの実現に向けて条件検討に取り組んでいる。また、癌細胞周辺の特殊な線維芽細胞が作り出す微小環境についてイメージング手法の検討を進めている。
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Causes of Carryover |
2023年度は主にバイオインフォマティクス解析を行ったため、実験に必要な試薬などの消耗品費の支出が少なかった。2024年度以降は実験的な検証を主に実施するため、繰越分を含めて試薬代や解析費用に充てる予定である。
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