2023 Fiscal Year Research-status Report
乾燥耐性生物の遺伝資源を利用したヒト培養細胞の長期常温乾燥保存の技術開発
Project/Area Number |
23KJ1925
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
徳本 翔子 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
|
Keywords | 乾燥耐性 / スクリーニング / HEK293細胞 / 乾燥保存 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、HEK293細胞において、乾燥耐性生物由来のcDNAライブラリを導入し、乾燥保存できるかを検討する。使用する乾燥耐性生物はネムリユスリカやクマムシなどを予定している。哺乳類細胞のHEK293細胞でこれら生物のcDNAをCMVやCAGプロモーター等の恒常活性プロモーターを用いて発現させると、細胞毒性が出ることが想定される。そのため、cDNAライブラリは誘導型発現システムを用いて発現させることを計画している。 そこで2023年度は、Tet-OnシステムでcDNAラリブラリを発現させることを目的として、rtTA (reverse Tetracycline Trans-activator)をstableに発現するparental cellの樹立を行った。Tet-Onシステムは、第3世代のテトラサイクリン発現誘導システムである、Tet-On 3Gを用いることにした。哺乳類のSafe Harbor siteの一つである、AAVS1に、CMVプロモーター、Tet3G、HaloTagおよびBlaR(ブラストサイジン耐性遺伝子)をCRIS-PITChを用いて導入した。ブラストサイジンを用いて、細胞をセレクションした後、HaloTagリガンドを添加して、シングルセルソーティングを行った。AAVS1にCMVプロモーター、Tet3G、HaloTagおよびBlaRがノックインされているかを確認するため、取得したclonal cell lineのゲノムをtemplateにして、PCRを行った。その結果、全ての発現ユニットが挿入されていることを確認でき、cDNAライブラリを導入するためのparental cellを樹立することができた。今後は、この細胞を用いて、乾燥耐性生物由来のcDNAライブラリを導入し、HEK293細胞が乾燥耐性を得られるかを検討する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は、cDNAライブラリを導入するための細胞樹立とcDNAライブラリの作製を目標としていた。前者の細胞は問題なく樹立できた。しかしながら、cDNAライブラリ作製に用いる試薬キットを購入後に、そのキットで推奨しているmRNA精製キットが廃盤になったため、高濃度でmRNAを精製できるキットを探すことが必要になった。さらに、新しく見つけたmRNA精製キットの公式プロトコルに間違えがあったため、乾燥耐性生物のRNA抽出からやり直さなければならなくなったため、cDNAライブラリの作製まで終えることができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
途中になっている、cDNAライブラリの構築をまず行う。まずは、比較的サンプリングしやすい、乾燥耐性生物のネムリユスリカを用いて、cDNAライブラリを作製する予定である。mRNAが十分に取得できれば、乾燥時と再水和時の2つに分けてライブラリを作製する予定である。まずはどちらのライブラリもTet-On3Gシステムで発現させるように、TRE3Gの下流にcDNAを組み込む予定である。 本研究課題では、乾燥時と再水和時のcDNAを、それぞれTet-On3GおよびCumate gene-switchシステムを用いて発現させる計画である。そのため、今年度では、Cumate gene-switchシステムがHEK293細胞でcDNAライブラリの発現に使用できそうかについても検討する予定である。Cumate gene-switchシステムが使えそうであれば、再水和時のcDNAライブラリを載せ替える。
|