2023 Fiscal Year Annual Research Report
振動が誘起するカオス混合を用いた高効率ナノ粒子検出デバイス
Project/Area Number |
23KJ1940
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
金子 完治 中央大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2024-03-31
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Keywords | Vibration-induced flow / Micropillar / Nanoparticles detection / Agglutination assay / Micromixing / Chaotic mixing / Numerical simulation |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,微小振動が誘起するマイクロ構造物周囲の局所流れ(振動誘起流れ)を利用して,極微量のサンプル中のナノ粒子(NP)検出のための免疫凝集法プラットフォームを確立することである. 初めに,振動が誘起するマイクロピラー周囲の流れ場を測定した.具体的には,振動条件(周波数,振幅,振動方向)やピラー間距離など様々な条件について,マイクロPIVを用いて速度場を測定した.この測定により,振動条件やピラー幾何学的条件により流れ場を容易に制御できることが明らかになった.次に,振動誘起流れを用いて免疫凝集法に基づくNPの検出を行った.アビジン-ビオチン相互作用のモデル捕捉系を用いた検証実験では,NPが含まれるサンプルに振動誘起流れでの攪拌をした場合に捕捉粒子の凝集面積が増加しており,NPが検出されたことを実証した.さらに,本システムでの粒子の挙動の数値理解を目指して,ピラー周囲の3次元的な流れ場と粒子輸送を予測する数値解析ツールを構築した.境界条件が変動する非定常な流れにおいて,PIVを用いた流れ場の測定結果と数値計算結果が複数の条件下で一致しており,計算の妥当性が証明された.このツールを拡張し,凝集の初期段階である粒子捕捉の計算を行った.粒子捕捉の数値解析では,捕捉率が周波数や振幅の増加に伴って増加する傾向となった.これは,平均凝集体面積が周波数や振幅増加に伴って増加するという実験傾向と相関した.この数値解析ツールにより,振動誘起流れシステムにおける粒子捕捉の挙動を解明することが期待される.最後に,システムの実応用に向けて生体NPである細胞外小胞(EV)の検出を行った.アビジン-ビオチン捕捉と同様に,検出限界は10^7 /mLのオーダーであり,振動誘起流れにおける速度場の柔軟性が,様々な検出対象に対して有利であることを示している.
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