2023 Fiscal Year Research-status Report
Novel therapeutic targets for the hypertensive disorder of pregnancy by global transcriptome analysis on placental senescence
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23KJ1958
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
吉田 佳乃子 東京薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / 胎盤 / ミトコンドリア / 細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
「胎盤老化に着目した大規模遺伝子解析による妊娠高血圧症候群の新規治療標的探索と応用」の課題にて、胎盤細胞の老化と妊娠高血圧症候群(HDP)の病態解明を目的に研究を遂行している。早期HDPの胎盤組織におけるRNA-seq解析を行ったところ、ミトコンドリア関連因子の発現が変化していた。胎盤の主構成細胞である栄養膜細胞は、融合することで、妊娠を維持し、この融合障害はHDPを発症する。栄養膜細胞の細胞融合時にはミトコンドリア機能が変化した。そこで、細胞融合能やミトコンドリア機能に対する食品由来ポリフェノールの一種で老化細胞除去、抗酸化作用を持つケルセチンの効果を検証した。ケルセチンを処置するとミトコンドリア機能が改善し、細胞融合が上昇した。これより、HDPの病態悪化にケルセチンが応用できる可能性を示唆した。 次に、HDP胎盤のRNA-seq解析で、ミトコンドリアに局在するDHODH (Dihydroorotate dehydrogenase)とそれによって制御されるインターフェロン誘導性の抗ウイルス因子IFITM (Interferon-induced transmembrane proteins)を同定した。IFITMは、ウイルス膜の流動性を変化させるため、栄養膜細胞の細胞膜流動性にも関与していると仮定した。まず、DHODHノックダウン及びIFITM過剰発現栄養膜細胞を作成し、細胞融合能を測定したところ、それを抑制した。この細胞融合阻害メカニズムを明らかにするため、細胞膜流動性を制御している細胞膜上の脂肪酸組成を免疫染色したところ、IFITM過剰発現細胞では脂質組成が変化していることを明らかにした。胎盤老化によるHDPへの影響は、公共データベースを用いて老化胎盤とHDP胎盤における発現変動遺伝子の統合解析を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞膜流動性の測定手法習得に時間を要したため、解析が遅れたが現在定量化まで行っており、IFITM過剰発現栄養膜細胞では細胞膜流動性が減少し、細胞融合が抑制されていることが判明した。 胎盤老化と妊娠高血圧症候群の解析については、公共データベースを利用することにより、現在解析を行っており、概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
胎盤内環境を再現した培養系の確立のために、胎盤栄養膜幹細胞を胎盤内血流の影響を再現することのできるマイクロ流体デバイスに培養し、遺伝子解析によって同定した老化関連因子と胎盤機能について評価し、高齢妊娠による妊娠高血圧症候群の標的遺伝子を同定する予定である。次に、同定された候補遺伝子を用いて、in silico 手法によるドラッグリポジショニングを実施し、候補薬剤を探索することで、所期の目標を達成する。
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Causes of Carryover |
single cell RNA-seq受託解析行う予定だったが、納期が年度内に間に合わなかったため、解析費は次年度へ持ち越した。
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