2023 Fiscal Year Research-status Report
南海トラフ地震に対する地域レジリエンス最大化のための災害廃棄物リスクマネジメント
Project/Area Number |
23KJ2030
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
青木 康貴 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2025-03-31
|
Keywords | 南海トラフ地震 / レジリエンス / 災害廃棄物 / 地震ハザード / 津波ハザード / リスク評価 / マルチハザード / 道路ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,南海トラフ地震による圧倒的な強震動や津波により構造物の被害および災害廃棄物が発生することを前提として,被災地の早期復興を実現する,すなわちレジリエンス強化ための災害廃棄物リスクマネジメントの確立を目指す.そのためには,断層運動の予測などに関わる不確かさを考慮したリスクアプローチのもとで,(A) 地域の構造物・地形情報を反映した仮想都市モデルの作成,(B) 南海トラフ地震により生じる地震動および津波ハザードの評価とそれにより生じる構造物被害の算定,(C) 災害廃棄物量の推定とその処理に要する時間の推定,および(D) 災害廃棄物の処理時間を最小化する事前対策の同定,を可能とする方法論を構築する必要がある. 2023年度に実施した研究の実績概要を以下に示す. (1)空間的に相関を有する地震動および津波ハザードの作用下にある橋梁・道路ネットワークの接続性を評価する手順を提示した.これは,(a)空間相性を考慮した地震動・津波ハザード解析,(b)地震動と津波を連続して受ける橋梁のフラジリティ評価, (c)橋梁群の同時損傷確率を考慮した道路ネットワークの途絶確率の算定,の3つのステップから構成され,南海トラフ地震による地震動と津波発生後において,道路ネットワーク内にある2地点間の通行可能性を評価できるフローである. (2)南海トラフ地震の影響域における災害廃棄物の発生量とその処理時間の確率論的推定に関する基礎的検討を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は,確率論的地震・津波ハザード解析,災害廃棄物量のリスク評価,あるいは,被災インフラシステムの性能・相互依存性の時空間評価など,複数の数理手法を統合し,南海トラフ地震により生じる災害廃棄物の処理に要する時間を評価する解析フローを構築する等,当初の予定通りの成果が出ている. この状況から,研究計画全体としては,概ね順調に進展していると自己評価する.
|
Strategy for Future Research Activity |
構築した災害廃棄物の処理時間の推定手法をリスクマネジメントへ拡張し,南海トラフ地震により生じる災害廃棄物の処理時間を短縮する事前対策の同定を行う予定である.
|
Causes of Carryover |
当初の想定より相当の計算資源が必要になることが判明し,また,得られた成果を国内外で発表するため,高性能ワークステーションの購入費および国際会議WCEEの旅費として計上する予定である.
|
Research Products
(5 results)