2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23KJ2051
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森田 大智 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | 北魏 / 仏教 / 廃仏 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、5世紀に中国で行われた北魏廃仏について、①前時代(五胡十六国時代)からの仏教と国家の関係、②廃仏の主体(国家・皇帝・官僚など)と客体(仏寺・仏僧・仏教徒など)の論理に注目し、原因究明を目指すものである。本年度は、とくに①について、北魏の仏教と国家の関係を明らかにするためには、前時代のみならず、周辺領域との関係をも視野に入れる必要性を感じた。ゆえに、五胡十六国・北魏と同時期の東晋南朝における仏教と国家の関係を司法機関である監獄に着目し、明らかにすることを試みた。その成果は、韓国・成均館大学校と早稲田大学が合同で行った国際学術大会「グローバル・ヒストリーと知識循環」(「東晋南朝の監獄――『繋観世音応験記』にえがかれた監獄の姿を中心に」(2023年12月1日、オンライン))にて発表した。 さらに、2年目ないし3年目に行う予定であった中国の実地調査を行うことができた(2月20日~2月24日)。その際、湖北省博物館・偃師商城博物館・龍門石窟を訪れ、北魏期の造像銘・仏像など仏教関連の史料を実見・撮影することができた。これにより、伝世文献や図版にくわえ、前倒しで実見・撮影した史料を用いることができるようになった。 くわえて、訳者としてかかわった程蘇東「日本に伝わった『五行大義』にみえる古本『春秋繁露』治順五行篇の復元と検討」(河野貴美子・杜暁勤篇『中日古典学ワークショップ論集――文献・文学・文化――第一巻』汲古書院、2024年、131~173頁)が公刊され、周辺領域への理解を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
史料収集はおおむね順調である。さらに石家荘・洛陽・西安を訪れ、実地調査を行い、生の史料を実見・撮影することもできた。これにより、当初の予定より早く、実地調査の成果である造像銘や仏像などの史料を使用することが可能となった。 本研究で重要となる、①前時代(五胡十六国時代)からの仏教と国家の関係の検討については、軌道修正する必要が生まれたものの、それを踏まえた成果を学会報告し、成果を発表することができた。 以上を踏まえ、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
韓国・成均館大学校と早稲田大学が合同で行った国際学術大会において報告した際、韓国人研究者から貴重なご意見を多数賜ることができた。これをもとに報告内容を論文化し、学術雑誌に投稿する。また、今年度に引き続き、史料収集を行い、とくに日本国内の古写本の実見調査を行う。それをもとに、あらたに学界報告・論文投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
中国で公刊予定の図版・著作の出版が遅れてしまったためである。今年度は、これらを購入したい。
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