2023 Fiscal Year Research-status Report
運動介入によるアルツハイマー病の予防機序解明:アミロイド蓄積と神経性循環調節異常
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23KJ2207
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
深澤 歩 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-25 – 2026-03-31
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Keywords | アミロイドβ / Piezo1 / TRPV4 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、末梢感覚神経におけるアミロイドβ(Aβ)の蓄積が機械感受性に及ぼす影響について全細胞パッチクランプ法を用いて検討を行った。Sprague-Dawleyラットの脊髄後根神経節(DRG)の培養細胞に対し、Aβ1-40/1-42の添加前後の(1)機械刺激に対する機械感受性電流、(2)Piezo1 選択的作動薬(Yoda-1)誘導性の内向き電流ならびに(3)TRPV4選択的作動薬(GSK1016790)誘導性の内向き電流を測定した。その結果、すべての刺激に対する感受性電流が、Aβ1-40/1-42の添加により減少した。この結果から、メカノレセプターであるPiezo1やTRPV4がAβにより抑制されることで、機械刺激に対する応答が減弱したと考えられる。Piezo1やTRPV4は、PI3KやAktによってその働きが調節されている可能性が示唆されている。そこで、DRGの細胞培養液にAβ1-40/1-42を添加し一晩培養した細胞を用いて、Western blottingを実施し、PI3KとAktのタンパク発現を測定した。その結果、Aβ1-40/1-42を添加したDRGの培養細胞では、phospho/total-PI3K ならびにphospho/total-Aktが減少した。したがって、メカノレセプターを調節しているPI3KやAktのリン酸化がAβによって抑制されたことで、機械感受性が低下したことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の予定通りに、培養細胞に対する機械ならびに化学刺激に対する電気応答を全細胞パッチクランプ法を用いて検討し、アミロイドβの蓄積が機械感受性に及ぼす影響について評価することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、循環中枢および全身性のアミロイドβ(Aβ)投与が圧反射機能に及ぼす影響について検討する予定である。Aβを単回もしくは浸透圧ポンプを用いて慢性的に脳幹(循環中枢)もしくは静脈に投与したSDラットを使用し、Aβ投与の前後で圧反射を評価する。
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