2023 Fiscal Year Annual Research Report
老化と神経変性疾患の相互作用にグリア由来分泌因子が果たす役割の解明
Project/Area Number |
23KJ2223
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
山城 梨沙 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 認知症先進医療開発センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グリア / セルピン |
Outline of Annual Research Achievements |
グリア細胞から分泌されるSerpin27A (Spn27A) が老化促進と脳の保護という多面性を持つことに着想を得て、グリア由来の分泌因子セルピンは多組織連携による老化・寿命の制御と、神経変性疾患への保護機能をもち、老化と神経変性疾患の両方へ作用すると仮説を立てた。そこで本研究では、遺伝学的に優れたモデルであるショウジョウバエと、疾患モデルマウスを用いて、老化および神経変性疾患への転換点としてのセルピンの作用メカニズムを明らかにし、老化や老年性疾患の予防・治療法の創出を目指す。 初年度は、グリア由来のSpn27Aが他組織と連携して加齢性変化を調節するか調べるため、グリアでSpn27Aを発現抑制したショウジョウバエを用いて、Spn27Aが寿命制御組織である筋肉や腸の加齢性変化(筋肉の機能や腸幹細胞の数)へ与える影響の解析を計画した。はじめに、加齢性変化を評価する手法を決定するために、これまでの研究報告を調査した。筋肉の機能は、加齢に伴って低下することが報告されていることから、筋力の指標として用いられるクライミングアッセイによる検討が適切だと考えられた。腸は、加齢によって腸幹細胞の過増殖と腸上皮細胞(エンテロサイト)の細胞死が見られることが報告されていることから、免疫染色によって腸幹細胞や死細胞を観察することにした。これまで腸の解剖および免疫染色は実施したことがなかったため、専門とする研究者をたずね、実験手法を指導してもらった。その後、指導してもらった手法で免疫染色を実施したが、目的とするシグナルを観察することは出来なかったことから、実験条件を詳細に検討し、プロトコルを最適化する必要があると考えられた。また、アストロサイト特異的なGFAPプロモーター下でSerpinE2のmiRNA又はSerpinE2を発現するAAVベクター作製も研究計画として予定していたが、計画通りに研究を進展させることができず、実施できなかった。
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