2023 Fiscal Year Research-status Report
The eruptive history of Iraya Volcano and the exchange history between Taiwan and Luzon viewed from the archaeological sites of Batan Island in the Philippines
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23KK0017
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
奥野 充 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (50309887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 鋭一 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40609848)
中岡 礼奈 神戸大学, 理学研究科, 助教 (40756673)
田代 崇 日本大学, 法学部, 准教授 (70755165)
田中 和彦 鶴見大学, 文学部, 教授 (50407384)
山極 海嗣 琉球大学, 島嶼地域科学研究所, 講師 (80781202)
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Project Period (FY) |
2023-09-08 – 2026-03-31
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Keywords | イラヤ火山 / バタン島 / テフロクロノロジー / 考古遺跡 / 交流史 / 火砕流 / 土石流 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究は,バタネス州バタン島で実施する考古学(考古学班)および火山地質学(火山地質班)に関するフィールドワークを基礎とする日比国際共同研究である.本年度は,2024年2月にフィリピン側の研究機関であるフィリピン国立博物館(NMP)とフィリピン国立火山地震研究所(PHIVOLCS)と共同でフィールドワークを行った.このプロジェクトの初年度に当たる本年度は,現地での調査許可申請に時間が充てられた.この地域はフィリピン共和国法第8991号に基づく保護地域法「バタネス群の島々を保護地域として,その周辺海域を緩衝地帯として設定し,その管理およびその他の目的を規定する法律」の対象であり,考古学発掘を行う許可 (共和国法 RA No. 10066 および RA No. 4846) も必要であるため,バタネス州知事,バスコ市長,マハタオ市長,環境天然資源省 (DENR)/州環境天然資源局 (PENRO)などを訪問し,諸々の許可を得るとともに円滑に調査を進める上で有益な助言も受けた. 現地調査として,考古学班はバスコのビアジャンのサン・アントニオ村にあるレイダンテ・カビソン所有地遺跡で双獣頭形耳飾の発見地点の汚水浄化槽用に掘削された穴(2m x 1.2m)を調査し,その穴の壁面で1.5mほどのテフラの堆積の下に土器などの遺物を含む40~50cmの厚さの黒色土文化層を確認した。また、この黒色土文化層の下にさらにテフラの堆積があることも確認した。また,スンゲ トップ テラス遺跡(マハタオ市)の踏査も実施した.一方,火山地質班は,イラヤ火山の山麓の海食崖において最新の噴火に関連する降下テフラ,火砕流および土石流のシーケンスを観察した.放射性炭素年代や岩石磁気を測定する試料も採取した.また,島内のテフラの分布も確認してバスコ市内とマハタオ市で模式的な露頭を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2024年2月に考古学班と火山地質班の双方が現地調査を実施し,相互の関係も含めて広く情報交換を行い,現地のステークホルダー(バタネス州知事,バスコ市長,マハタオ市長,環境天然資源省/州環境天然資源局など)ともコミュニケーションを図り,調査に必要な許可を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
台湾とフィリピンの交流史を詳細に復元するために,考古学班と火山地質班で得られた成果を共有していく.そのためのミーティングをZOOMで早急に開催する予定である.考古学班は遺跡の発掘と既存資料も含めた遺物の整理検討,火山地質班は山麓部と島内テフラの調査を並行して進める.放射性炭素年代測定と噴出物の同定(化学分析)によって,考古遺跡と火山噴出物の対比を行い,この地域の交流史に火山噴火がどのようなインパクトを与えたかも検討したい.
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Causes of Carryover |
分担者の田代が本務校の業務の関係で,本年度の現地調査に参加できなかった.そのため,旅費を執行することができなかった.次年度は十分に日程調整を行い,本年度分を繰越して執行する予定である.
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Research Products
(8 results)