2023 Fiscal Year Research-status Report
Research on Quality of Working Life and Gender in African Manufacturing
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23KK0022
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 基樹 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 教授 (30273808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井手上 和代 明治学院大学, 国際学部, 講師 (00838435)
村山 真弓 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 理事 (10450454)
福西 隆弘 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センター, 主任調査研究員 (80450526)
松原 加奈 東京理科大学, 経営学部国際デザイン経営学科, 助教 (80962547)
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Project Period (FY) |
2023-09-08 – 2028-03-31
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Keywords | 働きがい / 女性労働者特有のニーズ / 働きかたの質の性差 / 労働の意欲と責任感 / 自己効力感 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の2023年度は、研究代表者の高橋基樹が、松原加奈とともにケニアに出張し、カウンターパートとして期待するナイロビ大学大学院経済学開発学研究科の研究科長はじめ関連の教員とワークショップを開いた(24年2月23日)。このワークショップにおいて、高橋から主に次の2点について述べた。 第1に、①と②の2つの点で研究実施に関わる日本側の要請を行った。①ホスト側であるナイロビ大同研究科に期待するところは大きく、とりわけケニアの経済と製造業について日本側メンバーよりはるかに豊富な知見を持つ、同研究科の教員に研究に寄与していただきたいこと。②ナイロビ大学の研究者を志す大学院生に調査研究の補助者として積極的に参加してもらいたいこと。 第2に、構想している研究の中身について、あらかじめ準備してあった英文によるペーパーを用いて報告をした。調査研究のコンセプトとして女性と男性とでは、働きかたの質に格差があり、そのことが女性の生産性の低さともたらし、さらには製造業全体の停滞につながっているとの仮説を述べた。そして、働き方の質の要素として、職場における待遇、地位に限らず、責任の任せられ方、仕事に対する同僚による認知など働きがいに注目し、そのことが、女性労働者の意欲、熟練度、ひいては全体の生産性に影響を与えるという仮説に立ち、それを検証することにより、研究を進めることを提案した。 上記のことについて、ナイロビ大学側からいくつかの質問やコメントがなされ議論を行ったうえで、日本側の構想に基づいて研究を行うことで、コンセンサスが得られた。 また、高橋はケニアのインフォーマルな製造業のひとつソファ製造に注目し、ジェンダー間の働きかたの質のちがいについての調査を開始した。松原はケニアのセミフォーマルな製造業の例として、革靴製造に注目し、同じくジェンダー間の働きかたの質についての差異に関する調査を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の後期からの開始であり、本研究の期間の最初の半年であった。この半年の間にナイロビ大学大学院経済学開発学研究科の組織的な理解と支持、また同研究科の関連教員の協力を、研究の内容と計画の説明をしたうえで得ることができた。これは5年間の全期間にわたる調査研究の基礎固めができたことを意味する。またインフォーマルなソファ製造、セミフォーマルな革靴製造など今後の調査対象とすべき業種や場所も、ケニアのナイロビにおいて同定できた。これらの点で、おおむね順調に進展していると考えてよいと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の作業としてまず第1に、働きかたの質のジェンダー、業種、企業規模、フォーマル・インフォ―マルの別などによる違いを明らかにするために工場・作業場などにおいて聞き取り調査を進める。まずはいくつかの業種を例にとって予備調査を行う。そのための質問票の原案は、日本側で準備し、ケニア側の批判的検討を経て完成させる。この点については、2024年2月23日にナイロビ大学大学院経済学開発学研究科において開かれたワークショップ(<研究実績の概要>参照)の際に、ケニア側と日本側の研究者との間で合意した。 また、並行して調査先となる具体的な工場・作業場を特定し、経営者の了承を得る。 さらに、ケニア科学技術革新委員会より公式の調査許可を取得するための準備を進める。 そして、ケニア側では、本調査に研究助手として協力する大学院生など若手研究者の選定を進める。
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Causes of Carryover |
2月23日にナイロビ大学大学院経済学開発学研究科の関係者と話し合いを行うためにケニアに赴いたが、研究代表者の高橋が実施中の別の科学研究費と本科学研究費とで旅費等を二つに分けることができたので、結果的に経費が節減でき、次年度使用額が生じた。2024年度には、メンバーの渡航を増やし、ナイロビ大学のケニア側メンバーなどとのワークショップ及び打ち合わせや現地での予備調査などを鋭意実施していく予定なので、基本的に2024年度に支出する予定である。
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Research Products
(5 results)