2023 Fiscal Year Research-status Report
超高分解能質量分析を駆使した変換生成物汚染実態解明とそれに基づく水質管理法の開発
Project/Area Number |
23KK0074
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 学 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (30598503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
權 垠相 東北大学, 理学研究科, 准教授 (10360538)
ザン ベイ 東京工業大学, 物質理工学院, 研究員 (90979824)
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Project Period (FY) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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Keywords | 変換生成物 / 超高分解能質量分析 / 新興汚染物質 / 水処理 / 水質管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度は、新興有機汚染物質の室内実験(水処理試験)の実施に加えて、固相抽出などを用いた生成変換物の抽出・精製処理を行った。室内試験では、UVやプラズマなどを用いた複数の高度処理処理システムの準備に取り掛かり、UVや塩素などを用いた一部の高度処理試験について新興汚染物質の分解試験を行った。汚染物質としては、複数種の医薬品やペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)や塩素副生成物などの新興汚染物を対象とした。種々の固相抽出カラム(WAXカラム、HLBカラム、PPLカラム等)とメタノール溶媒を用いて分解生成物の溶出・精製を行い、質量分析の測定試料として準備した。また、実験作業と並行して、質量分析データから変換生成物をスクリーニングするためのアルゴリズムの作成に着手した。本手法は、これまでに構築してきた分子組成同定アルゴリズム(TRFuアルゴリズム)をベースとして、得られた高分解能質量分析データより分子組成を同定し、その後、サスペクトスクリーニングや分子ネットワーク手法等を組み合わせることで、変換生成物候補を検出するノンターゲット手法である。研究初年度では、分子組成同定アルゴリズムにハロゲン等の元素を組み込むことを中心に作業を行った。従来ではCHONSPを主とした化合物が解析対象となっていたが、ハロゲン元素を組み込むことにより、Fなどの新興汚染物質に含まれる元素も対象にした分子組成同定アルゴリズムとして更新した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度に予定されていた、課題1における「新興有機汚染物質からの変換生成物の生成試験」や課題2における「分子組成同定アルゴリズム高度化」が実施されおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究では、課題1における変換生成物の生成試験(UVやプラズマを用いた水処理試験)を継続し、対象試料について高分解能質量分析を実施する。また、課題2における分子組成同定アルゴリズム高度化のみならず分子ネットワーク解析にも着手する。
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Causes of Carryover |
一部の水処理実験について翌年度に実施する計画としたため。当該実験に関わる消耗品と人件費として翌年度に使用する予定である。
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