2023 Fiscal Year Research-status Report
Exploring the origins of root-nodule symbiosis: Functional analysis of rhizobial effectors governing primitive rhizobial symbiosis
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23KK0108
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
岡崎 伸 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40379285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ラトゥ サフィラタサナーバス 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 特任助教 (00985004)
蘭 正人 岩手大学, 農学部, 特任研究員 (10984073)
佐藤 修正 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (70370921)
下田 宜司 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (80415455)
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Project Period (FY) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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Keywords | 根粒菌 / エフェクター / マメ科植物 / ダイズ / III型分泌系 / 共生 / クサネム |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 根粒形成エフェクターの網羅的スクリーニング・・・共同研究者であるフランスのGiraud博士の研究室が所有する世界各地の多様なマメ科植物から単離された根粒菌30株ほどについてダイズnfr変異体に接種し、根粒形成する株をスクリーニングした。その結果、Bradyrhizobium属の根粒菌1株がダイズnfr変異体に根粒形成することを発見した。Giraud博士らによるゲノム解析により、この根粒菌株には既知の根粒形成エフェクターBel2-5、ErnAどちらも存在しないことが明らかになっており、この根粒菌が新規エフェクターを保持している可能性が示唆された。 2. ダイズ根粒菌/クサネム根粒菌エフェクターの共通性/差異性の解析・・・Bel2-5とErnAはダイズとクサネムにそれぞれ根粒形成を誘導するが相同性は低い。それぞれのエフェクターが宿主特異的に根粒形成誘導するのか、もしくは交換可能なのかを調べるために、エフェクターを入れ替えた根粒菌変異株を作成して根粒形成試験を行った。その結果、Bel2-5はクサネムに未発達の根粒を誘導することが判明した。一方、ErnAはダイズに根粒形成を誘導しなかったことから、それぞれのエフェクターは宿主特異的に機能する可能性が示唆された。 3. エフェクター発現植物の根粒形成誘導・・・それぞれのエフェクターが異種宿主において根粒形成を誘導するかを検証するため、ダイズ根においてエフェクターを発現する形質転換毛状根を作出し、その根粒形成能を検討した。クサネムにおいては、Giraud博士らによる研究でエフェクターErnAを発現させることにより、根に皮層細胞分裂と根粒形成が誘導されることが明らかとなった。一方、ダイズにおいては、Bel2-5を発現させることにより、毛状根の発根と伸長が著しく抑制されることが見出され、今回の実験条件ではBel2-5による細胞分裂などへの悪影響が強く発現したことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Giraud博士との共同研究により、nfr変異体ダイズに根粒を形成する根粒菌を新たに1株発見することができた。この根粒菌株はBel2-5を保持していないことが示唆されており、新規エフェクターを保持している可能性が高い。今後の解析により新規根粒形成エフェクターの発見にいたる可能性も高いことから、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回あたらしく発見したnfr変異ダイズに根粒形成する株については、Giraud博士と共同でエフェクター候補遺伝子の検、および遺伝子破壊株の作成を行い、nfr変異ダイズに接種することで根粒形成エフェクターであることを証明する。また、エフェクター遺伝子を発現する形質転換植物の作成については、クサネムとエフェクターErnAでは根に皮層細胞分裂と根粒形成が誘導されることが示されたが、ダイズにおいては、Bel2-5を発現させることにより、毛状根の発根と伸長が著しく抑制されることが明らかとなった。Bel2-5の発現に用いたユビキチンプロモーターが強すぎた可能性もあるため、今後は低発現プロモーターや誘導性プロモーターの利用も検討する。
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Causes of Carryover |
これまでのところ本研究の課題の中で(1)根粒形成エフェクターの網羅的スクリーニング、(2)ダイズ根粒菌/クサネム根粒菌エフェクターの共通性/差異性の解析を中心に進めているところであるが、未だ解析途中である。さらに(3)根粒菌エフェクターと相互作用する宿主標的因子の探索、および(4)根粒菌エフェクター/Nod factorによる共生シグナル伝達の比較トランスクリプトーム解析については、課題(1)および(2)の結果を受けて進める必要があるため、次年度に実施する部分については今年度予算を使用せずに、次年度に研究費を使用して研究を進める計画である。
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[Journal Article] Widespread <i>Bradyrhizobium</i> distribution of diverse Type III effectors that trigger legume nodulation in the absence of Nod factor2023
Author(s)
Camuel, A., Teulet, A., Carcagno, M. Haq, F., Pacquit, V., Gully, D., Pervent, M., Chaintreuil, C., Fardoux, J., Horta-Araujo, N., Okazaki, S., Ratu, S., Gueye, F., Zilli, J., Nouwen, N., Arrighi, J.F., Luo, H., Mergaert, P., Deslandes, L., Giraud, E.
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Journal Title
The ISME Journal
Volume: 17
Pages: 1416~1429
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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