2023 Fiscal Year Research-status Report
国際連携強化による「膵がん幹細胞」由来エクソソームRNA診断の最高精度化
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23KK0153
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石井 秀始 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教授 (10280736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 知明 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (30779161)
孟 思昆 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教 (50977204)
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Project Period (FY) |
2023-09-08 – 2028-03-31
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Keywords | がん幹細胞 / エクソソーム / RNA / メチル化 / リキッドバイオプシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、PKの難治性を理解し克服するためにがん幹細胞(CSC)に対する最新技術を投入し、リキッドバイオプシー(LB)によって末梢血から得られるEXを用いて、その『殻』の抗原 情報と『中身』の多様なRNA情報を組み合わせて計測することにより、CSCに関する情報を得る技術を開発する計画である。 細胞外分泌小胞(EX)の『殻』と『中身 』を計測するためには、私たちのわが国のコア技術を用いる。この研究によって国際的な研究グループの競争力を強化し、最終的に精密医療と してグローバルな展開を目指していく。研究代表者が中心となってチーム全体の持続可能な研究の展開に努めつつさらに大きく発展させ、わが国発技術の発展を目指しその研究課題を解決していく計画である。研究全体で、わが国が強みとしているバイオマーカー技術と、海外が先行している先進技術の双方を若手人材の育成を駆動力としながら融合させることにより、わが国の科学技術の底上げを図る計画の海外連携の開発研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って、欧州の研究者と連携をとることにより、初年度からデータベースの構築、論文公表へと推進しているところである。すなわち、国際的にも共有して発生頻度が増加している難治性が高い「膵がん(PK)」を対象として、先端技術で精密に計測することにより、細胞外分泌小胞(EX )を用いたリキッドバイオプシー(LB)から、難治性の根源である「がん幹細胞(CSC)」の存在と生存シグナルを解明し、診断や治療に応用することができるかどうかを明らかにするために、若手研究者が積極的に推進し、以下の各点を主として課題の解決に向けて前進することができた。共同研究先とすでに学術を通じた信頼関係にあり、本研究の全般にわたって共同研究を進めている。【課題1】CSC 由来EXの抗原(殻)とRNA(中身)をベアで計測する [国際]。【課題2】可視化技術で、CSC由来EX_RNA計測のProof-of-Concept(POC)を取得す る[国際]。これらの研究では、ヒト材料を用いたオルガノイド解析で、標的遺伝子を見出すことができた。さらに、RNA科学として幅を広げた研究にも着手し、【課題3】『殻』マーカー分子、『中身』マイクロRNAを全ncRNAと比較検討する[国際]も推進することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度での順調な滑り出しを踏まえ、引き続き「膵がん(PK)」を対象として、先端技術で精密に計測し、細胞外分泌小胞(EX)を用いたリキッドバイオプシー(LB)から、難治性の根源である「がん幹細胞(CSC)」の存在と生存シグナルを解明していく。診断や治療に応用可能かを明らかにするために、若手研究者が積極的に推進し、以下の各点を主として研究代表者が海外の研究機関に直接出向くことにより解決する。共同研究先とすでに学術を通じた信頼関係にあり、本研究の全般にわたって共同研究を進めている。すでに、【課題①】CSC 由来EXの抗原(殻)とRNA(中身)をペアで計測する [国際]、および【課題②】可視化技術で、CSC由来EX_RNA計測のProof-of-Concept(POC)を取得する[国際]、さらには【課題③】『殻』マーカー分子、『中身』マイクロRNAを全ncRNAと比較検討する[国際]を進めているが、今後は現地の研究者と若手を中心とした直接的に研究を共有する場を通じて開発を推進する計画である。さらに【課題④】PK治療後の浸潤転移再発の予測 に応用する[国際]にも応用していく計画である。私たちは2004年から2021年まで、米国留学中からシーズを開発して全miRNAからNGSに展開するとともに、シンガポール国立大学との共同研究で英国製ナノポア技術を核酸計測に応用する検討を進めた。本研究は、それらの研究成果を土台として発展させつつ、研究を推進する予定である。欧米シンガポールに中国も含めて拡大された形で、わが国技術のグローバルな展開が期待される。本研究の知的財産はわが国アカデミアの研究で確保されているので、それを土台としてグローバル展開すれば、アカデミアにおけるシーズの定着とその強いインパクトの創生に繋がる。研究期間内に持続可能な研究展開に努め、若手の育成を通じて大きく発展する計画である。
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Causes of Carryover |
当初に立案した計画に従い研究を進め、実質的に初年度は下半期以降での開始でありながら、当初に想定された以上の成果が得られて、海外連携における成果として複数の論文として公表することができた。一方で、研究組織での雇用形態の対応や、若手研究者の働き方改革の影響を受けて、研究の進め方に関して年度を超えた業務エフォートの再配分を行なっていることに加えて、さらには実験動物施設の無菌化の受け入れの手続きで想定外の対応が必要となり時間を要しているために、旧年度内での支出が低く次年度に海外連携業務として支出することになった。研究期間全体での進捗には問題ない。次年度は当初に立案した目的にしたがって、海外連携における研究を深めていく計画である。
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