2023 Fiscal Year Research-status Report
細菌と菌体外マトリックスをダブルターゲットとするバイオフィルム制御材料技術の確立
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23KK0161
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今里 聡 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (80243244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 晴朗 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (50736246)
北川 蘭奈 大阪大学, 大学院歯学研究科, 招へい教員 (70711068)
LARANJEIRA・ABE GABRIELA 大阪大学, 大学院歯学研究科, 特任助教(常勤) (30964952)
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Project Period (FY) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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Keywords | 歯学 / 歯科材料学 / バイオフィルム / 細胞外DNA / 抗菌性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、細菌標的型の抗菌成分固定化レジンとして、抗菌性レジンモノマーである2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド(METAC)を市販コンポジットレジンであるグレースフィルゼロフロー(GC)に6 wt%添加し、METAC配合コンポジットレジンを作製した。 つづいて、METAC配合コンポジットレジンの硬化体表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、表面に局在している直径5μm程度の低輝度領域が観察された。さらに、エネルギー分散型X線分光法による元素マッピングを行ったところ、METAC配合コンポジットレジンの表面では、METAC由来の対イオンである塩素が密に分布する部位が認められ、この部位が走査型電子顕微鏡像により観察された低輝度領域に一致していることが確認された。次に、顕微ラマン分析により走査型電子顕微鏡像により観察された低輝度領域の重合度を解析したところ、モノマー状態のMETACに比べてC=C二重結合のピークが減少していることが確認された。これらの結果から、METAC配合コンポジットレジンの表面においてpoly(METAC)が高密度に局在する部位があることが確認された。また、METAC配合コンポジットレジンの硬化体を蒸留水に28日間浸漬し、溶出液中のMETAC濃度を高速液体クロマトグラフィにより解析したところ、METACが検出されなかったことから、抗菌成分であるMETACがコンポジットレジン上で固定化されていることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の研究実施計画に則り、抗菌成分固定化レジンの作製に成功し、当初想定していた通りの結果が得られた。 以上のことから本研究の進捗は、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に得られた結果に基づいて抗菌成分配合コンポジットレジンの抗菌効果の検討、およびeDNA分解酵素担持粒子の作製を行う。
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Causes of Carryover |
令和5年度3月に開催された国際学会への参加のため、令和5年度3月に計画していたニューカッスル大学(英国)への渡航時期を令和6年度7月に変更したため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、英国渡航および滞在のための交通費や宿泊費等に使用する。
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