2023 Fiscal Year Research-status Report
Deciphering climate variability in the Early Eocene "hothouse" beyond the tipping point from annually laminated lacustrine record in Utah, USA
Project/Area Number |
23KK0193
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
長谷川 精 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 准教授 (80551605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 杏樹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (10974248)
隈 隆成 日本大学, 文理学部, 助手 (00908121)
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Project Period (FY) |
2023-09-08 – 2026-03-31
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Keywords | 温室期 / 気候安定性 / 年縞 / 湖成層 / 気候転換点 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,米国ユタ州のグリーンリバー湖成層を対象とし,現在よりも温暖化が進行した時代である始新世前期“超温室期”~始新世中期“温室期”(約5200万~4650万年前)の陸域気候変動の実態を,数年~十年スケールで詳細に解明することを目的とする。 2023年度はIndian Canyonでの精密年代モデルの構築に向け、古地磁気層序学的対比のためのパイロット試料の岩石磁気測定を行った。昨年度までに採取した定方位試料9試料に対して、熱消磁・交流消磁とを行って初生磁化・二次磁化成分の検討を行った結果,初生磁化はマグネタイトがキャリアとなっていること、更に湖底堆積物に特徴的に見られるピロータイトやゲーサイト,パイライトなどの硫化鉄に関係した鉱物が二次磁化成分を担っていることが明らかになった。また交流消磁および熱消磁を併用することにより,初生磁化成分を取り出すことが十分可能であるという確証が得られた。 これにより,2024年6月に実施予定のIndian Canyonでの調査で,古地磁気層序構築のためのターゲット岩相や試料採取戦略も構築できた。また本国際共同研究のカウンターパートである英国サウサンプトン大学のJessica Whiteside博士ともオンラインで調査・研究戦略を話し合い,2024年6月の調査にはWhiteside博士も参加して頂けることが決まった。またユタ地質調査所でのコア試料採取やXRFコアスキャナー分析実施のための準備についても相談した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度はIndian Canyonでの精密年代モデルの構築に向け、古地磁気層序学的対比のためのパイロット試料の岩石磁気測定を行い,交流消磁および熱消磁を併用することにより,初生磁化成分を取り出すことが十分可能であるという確証が得られた。 2024年6月に実施予定のIndian Canyonでの現地調査で,古地磁気層序構築のための試料採取戦略も構築できた。同調査には国際共同研究のカウンターパートであるWhiteside博士も参加して頂けることになり,ユタ地質調査所でのコア試料採取やXRFコアスキャナー分析のための準備も順調に進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年6月には分担者の佐久間杏樹と隈隆成,研究協力者の穴井千里,そして国際共同研究のカウンターパートであるWhiteside博士と共に,ユタ州北部Indian Canyonで露頭調査と試料採取を行う予定である。そして古地磁気層序の構築と,炭酸塩のレアアイソトープ分析(Δ47,Δ17O)やバイオマーカーの水素同位体比(δ2H)分析を分担者・協力者と共に平行して進め,始新世前期“超温室期”~始新世中期“温室期”(約5200万~4650万年前)の陸域気候変動の実態を,数年~十年スケールで詳細に解明することを試みる。
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Causes of Carryover |
当初の計画では2023年度中に米国ユタ州のIndian Canyonセクションでの調査を実施する予定であったが,古地磁気層序構築のための試料採取戦略を検討するために,本年度はパイロット試料の岩石磁気実験に注力した。試料採取戦略の構築は完了し,現地調査は2024年6月に実施することに決定したため,経費の一部を次年度に使用することに変更した。
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